吾は知る強き百千の恋ゆえに百千の敵は嬉しきものと
踏絵もてためさるる日の来しごとも歌反古いだき立てる火の前
天地の一大事なりわが胸の秘密の扉誰か開きね
誰か似る鳴けようたへとあやさるる緋房の籠の美しき鳥
ともすれば死ぬことなどを言ひ給ふ恋もつ人のねたましきかな
年経ては吾も名もなき墓とならむ筑紫のはての松の木のかげに
『踏絵』は柳原白蓮が最初に出した歌集で、若き白蓮の告白的短歌の結晶といわれ、大正4年3月に竹柏会より出版されました。
「白蓮は藤原の女なり。」で始まる序章は佐佐木信綱、装丁は竹下夢二によるものです。
このたび初版本を復刻いたしました。
四六判上製カバー装 1800円•税別