渡辺松男歌集『〈空き〉部屋』

父も母もだれもまさぬにひかり満ちせつなかりしよ いえ ただ 花野

膝を折り休みにつかんとする木々のけはいあり淡く雨のふる夜

滅多に話さざる叔父が泣き骨壺に入らざる骨の父を砕きつ

立てるまま骨壺を抱くわが耳にとどかぬところに青嵐巻く

 

アノマトペ、比喩、アニマを駆使し、内包する

悲しみ、不安、恐れを

独自の素材を媒介にして

形象化する。

 

四六版上製カバー装 2625円•税込