上遠野悌子 鈴木りえ歌集『相模野』

ゆけどゆけど会えぬ悲しみ露草の藍も小草も澄みゆく挽歌

ー過ぎゆき

 

ウィット、ユーモア、寓話性、ファンタジー。作者の比喩表現はいずれもモダンなエスプリに溢れている。作者はまことロマンのひとである。

 

 

ボルネオより復員なしし兵隊さん父と知らされ泣きし日の雨

ー歌の歩み

時代、社会、歴史のうねりと、私的家族生活とが重なる地点で歌われている。本書はいわば、そうした家族の戦中戦後史としての性格を持つ。

 

 

谷岡亜紀•解説より

四六判上製カバー装 1800円•税別