ストーブの上に丸餅膨らみてあっちもこっちもいざこざ多し
半月のほの赤き翳みゆる空私の暗き部分見えくる
秋陽受け涅槃ぼとけの肩の上手足のばして猫も寝ている
姑を容れて夫と私三人の歯車今日もゆっくり廻る
閘門の重き鉄扉は水を制し木曽と長良の舟を渡しぬ
人生経験豊かな百一歳のお姑さんを著者は「はは」と呼び世話をして人生の在りようを日常的に教わっている。姑の最も好きな花はひまわりだという。著者も又姑を太陽とするひまわりでもあろう。
日比野義弘 帯文より
四六版上製カバー装 2500円・税別