肉体をもたぬいのちは涼しからんあやめ星雲もはるけき人も
いのちに触れる。
今ここにあるいのち、
森羅万象を流れ行くいのちを歌う。
他界のまなざしをもって、
日常の生の起伏を見つめる時、
あたらしい鼓動が歌に宿り始める。
病廊をゆくいもうとは角曲がりふいに消えたりわれはおののく
祈るほかなけれど指は組まざりき此岸に一本の綱手繰るため
木もれ日の道はしばらく続きおり次の悲へゆく序奏のように
自閉症アスペとアガペ似ておりぬ独りの愛は独りにかえる
ゆるらかに水抱くコップ一生かけわれら不可逆の水運ぶなり