反田たか子歌集『子規の地球儀』

      判型:四六判上製カバー装

      頁数:146頁

      定価:2400円(税別)

      ISBN978-4-86629-112-3

 

 

本集で最も多く詠われているのは、戦争をテーマにした作品である。作者は戦後生まれだが、戦中のことを何も話さなかった父や、軍服店を営んでいただ祖父母、戦死した叔父などを通して、あの時代を照らしだしている。

 

               河野小百合「跋」より

 

『子規の地球儀』より5首

 

あかときの演習林を駆け巡り絵馬に戻れり野生の馬は

 

迎え酒みたいな語感ストロンチウム90という黙読すれば

 

なめらかとはいえないのだが手ずからの塑像のまなこは青年のもの

 

軍服を試着せし人あまた知る等身大の鏡一台

 

彫りふかき歩兵の文字をさらさらとすべりゆくなり葉桜の影