佐佐木幸綱歌集『春のテオドール』

定価:2,500円

判型:四六判上製カバー装

頁数:234頁

ISBN 978-4-86629-207-6

おもいつきたることあるらしく

二階からいそぎおりくる

テオとであえり

 

さりげなく。しかし、噛みしめて、じっくりと味わうものだ。

上澄み液の底に沈殿するこの暮らしの時間を。

 

 

 

雪よこい はじめての雪はじめてのテオがむかえる正月のため

 

少女ふたりならんでたてばおてだまのようにまあるい白い雪ふる

 

のぶつなの生家のにわに井戸ありていまもむかしの空をうつせり

 

糸川のみずにネオンのみどりいろくだけて人はさけをのむべし

 

わたりゆく鳥のこころよ こころあれどテオはじぶんの旅にはでない