定価:2,500円(税別)
判型:四六判上製カバー装
頁数:206頁
ISBN978-4-86629239-7
第六歌集!
『透明な刻』から11年。東北大地震の余震は、ガラスの透明な立像をぎしぎしと鳴らし続けている。歌人が切り取った風景には、記憶のない生誕地・双葉町を始め、両親に関わる時代(とき)の流れが刻印されている。さらに過ごしてきた11年の透明な刻にも淡い色彩が射し込んできているように見える。
記憶なきわれの生まれし双葉町の野のタンポポは西洋種かも
思い出だけの遠き福島と思いおりにしっかり視よと近づいてくる
夜の峠越え行くバスの曲がるたび窓をはみ出す月を見ており
川ふたつ渡り野に咲く彼岸花さがしに行かんさねさし相模(さがむ)
河口まで北上したる阿武隈川 川幅広きをいま渡りゆく
常磐線特急ひたちの終点は品川なれば品川まで乗る