ながらみ書房は1985年開業、二千点以上の歌集歌書を出版してきた出版社です

 


NEWS

▼高山邦男歌集『Mother』が第29回若山牧水賞を受賞しました!

第一歌集『インソムニア』では日本歌人クラブ賞を受賞、今回の受賞作では認知症の母との生活、命の繋がり、生きることの喜びを歌っています。

 

大辻隆弘さんの歌集『橡と石垣』と同時受賞となりました。

おめでとうごございます!

 

Mother』のご注文は、お電話、メールで承っております。

2,530円(税込・送料弊社負担)です。

お支払いは郵便局の払込票を同封しますので、郵便局のATMよりお願いします。

 


▼加古陽歌集『夜明けのニュースデスク』の電子書籍版

シナノブックスより電子書籍版が販売されました。

 

夜明けのニュースデスク|加古陽|ながらみ書房|電子書籍|shinanobook.com|シナノ

 

▼第22回前川佐美雄賞・第32回ながらみ書房出版賞決定!!

第22回前川佐美雄賞 

川野里子  歌集『ウォーターリリー』(短歌研究社 2023年9月刊)

 

第32回ながらみ書房出版賞

鈴木英子  歌集『喉元を』(ながらみ書房 2023年10月刊)

 

おめでとうございます!!

 

詳細は、こちらをごご覧ください。→ 前川佐美雄賞・ながらみ書房出版賞 - ながらみ書房 (nagarami.org)

 

 

▼伊藤一彦 著『牧水・啄木・喜志子』          第15回日本歌人クラブ大賞を受賞しました!

『牧水・啄木・喜志子』のご注文は、メール、電話、FAXなどで承っております。

 

2600円(税別)です。

 


▼『定本 竹山広全歌集』について

このたび、在庫整理の一環で、残部につきまして定本『竹山広全歌集』を廉価でお分けすることになりました。不朽の名歌集『とこしへの川』を含む全歌集を4000円(税込み・送料込み)でお分けいたします。お申し込みは先着順といたしますので、品切れの場合は悪しからずご承知おきください。(Amazonでの販売は定価となります。)

ご注文は、メール、お電話、FAX等で承ります。お送先の郵便番号、ご住所、お名前、お電話番号をお知らせください。

郵便局の払込票を同封し、カンガルー便にて発送いたします。

▼おすすめ歌集・歌書紹介

伊藤一彦著『牧水・啄木・喜志子』→amazonでも販売中です

 

高山邦男歌集『インソムニア』大好評につき、文庫化いたしました。

 

 

松村正直著『樺太を訪れた歌人たち』小黒世茂著『記紀に游ぶ』好評です!



書籍のご注文や在庫確認は以下にて承っております。

送料は弊社負担、郵便払込票を同封して本を送らせていただきます。

mail:     info@nagaramishobou.co.jp
tel:      03-3234-2926
fax:     03-3234-3227

 

新刊歌集歌書

HPに掲載があっても、在庫切れの歌集がございます。

品切れの際は、ご容赦ください。


「短歌往来」2024年12月号

850円(税込)

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

【特集】

題詠による詩歌句の試みー都市を詠む

 

高橋睦郎、川野里子、長谷川櫂、佐々木幹郎、前川斎子、

正木ゆう子、高橋順子、谷岡亜紀、山西雅子、井坂洋子、

菊池裕、仁平勝、竹田朔歩、小黒世茂、鎌倉佐弓

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

◎巻頭作品

野栄の訃/御供平佶

 

◎特別作品

鷹一つ/古谷智子

ちやつちやくちやら/恒成美代子

 

◎評論シリーズ21世紀の視座

これは新しい神話のかたち/ユキノ進

 

◎作品13首

荻本清子、井野佐登、村山伀、池田はるみ、三友さよ子、南鏡子、林あまり、高山邦男、中川佐和子、冬道麻子

 

◎作品8首

山口美加代、斎藤皓一、杜みずえ、原ナオ、森川和代、福留フク子、三留ひと美、髙畠とよ子

 

◎新・自然を詠む・撮る・描く

深泥池/林和清

 

◎結社誌最新号

短歌人/宇田川寛之

 

◎追悼 川口城司

九十四歳片肺の生/御供平佶

 

◎今月の視点/田村ふみ乃

 

◎今月の新人/永山源

 

◎新刊歌集歌書評

花山多佳子歌集『三本のやまぼふし』/駒田晶子

小島ゆかり歌集『はるかなる虹』/松村由利子

古谷智子歌集『春にして君を離れ』/外塚喬

原口嘉代子歌集『飛鳥』/清水あかね

泉嘉穂子歌集『石見神楽』/久々湊盈子

清水昇一歌集『ビーグル犬の耳』/佐佐木頼綱

 

◆好評連載◆

島田修三、加藤治郎、勝又浩、豊島秀範、水城春房、佐佐木朋子、沢口芙美、持田綱一郎、福島泰樹、丹波真人

 

◎作品月評―10月号より/柾木遙一郎

◎評論月評/西巻真

 

◎全国往来情報

◎編集後記

 

◎表紙画/松本秀一

◎本文カット/浅川洋

 


近藤好廣歌集『天空の果て』

定価:2,750円(税込)

判型:四六判上製カバー装

頁数:198ページ

ISBN978-4-86629-338-7

 

近藤さんの歌には憧憬の対象に出会って精神を開放してゆく傾向がみられる。これは近藤さんに限らず歌人が持つ感受性なのであるが、対象に入り込む素直さとやさしさが近藤さんの歌の持ち味であるといえるだろう。

 

        ーーーーーーーー梅内美華子「解説」より

 

 

<引用五首>

 

海原の涯よりうまるる朝光が伊根の舟屋をこの世に戻す

 

耐洗耐光性の色に染める吾のひと生は布との格闘

 

みち一杯に矢絣模様を描きつつゆつくりすすむ母の田植機

 

まだ生きるもつと生きるを口にして光の雫をじつと見つむる

 

林檎の香残る空箱に今朝摘みし蕗の薹詰め旅つづけゆく

 

 

 

 


「短歌往来」2024年11月号

850円(税込)

 

◉巻頭作品21首

越境/大辻隆弘

 

◉特別作品33首

火の穂/本田一弘

黒い絆創膏/鈴木英子

 

◉評論シリーズ21世紀の視座

江田浩司

 

【特集】味覚のうた

(作品十首+エッセイ)

吉川宏志、道浦母都子、花山多佳子、三枝浩樹、福井和子、鶴岡美代子、小関祐子、武富純一、柳澤美晴、菊池裕、中津昌子、森山良太、田中律子

 

◉作品七首

佐藤通雅、田宮朋子、鵜飼康東、佐田公子、小笠原和幸、横山未来子、利根川発、片岡明、阪森郁代、梶田順子、桂保子

 

◉作品十三首

田土才惠、高木佳子、楠誓英、谺佳久、反田たか子、加藤孝男、浜谷久子、甲村雅俊、加藤英彦、村松建彦、峰尾碧、上條素山

 

◉作品八首

大友清子、梅本武義、片山佳代子、小林芳枝、筒井幸子、野本研一、西田泰枝、前田えみ子

 

◉新・自然を詠む・撮る・描く/和田沙都子

 

◉結社誌最新号

白珠/安田純生

 

◇◇連載◇◇

島田修三、加藤治郎、喜多弘樹

勝又浩、豊島秀範、水城春房、佐佐木朋子、沢口芙美、持田綱一郎、福島泰樹、丹波真人

 

◉今月の視点/山口明子

 

◉今月の新人/K・ケンタ

 

◉新刊歌集歌書評

谷岡亜紀著『鑑賞#佐佐木幸綱』/吉川宏志

古屋清歌集『余滴』/吉濱みち子

井野佐登歌集『アボカド号』/生沼義朗

江畑實著『創世神話「塚本邦雄」』/三枝昻之

道浦母都子歌集『あふれよ』/香川ヒサ

大田美和歌集『かがやけ』/藤島秀憲

岡部隆志著『「悲しみ」は抗する』/加藤英彦

 

◉作品月評(九月号より)/藤野早苗

 

◉評論月評/寺井龍哉

 

◉全国”往来”情報

 

◉編集後記

 

表紙画/松本秀一

本文カット/浅川洋

 

 

 

 

 

 

 

 


藤澤幸男歌集『はる』

定価:2,420円(税込)

判型:四六判上製カバー装

頁数:152ページ

ISBN978-4-86629-343-1

欲しいのはしずかなちからこの冬の発語としての初雪を待つ

 

<「栞」より >

 

「しずかなちから」とは具体的に何なのか、と読んでゆく時の読者の期待を良い意味で裏切って、この下句には確かな存在感がある

            ーーーーーーー河野美砂子

 

雪を作者は嫌っているわけではない。むしろ心待ちにしているのだ。初雪を「冬の発語」と捉えるところに雪への愛情が滲んでいる。

            ーーーーーーーー松村正直

 

 

 

<引用五首>

ひと筋の蜜のようにも細りつつ濃さを増してゆく真冬のこころ

 

わたしからさびしい馬が立ち上がり吸われるように雪へと消えた

 

どか雪に埋め尽くされた道が開き北國新聞三日分くる

 

墓を終い生家を終い少年のわたしを終いふるさとをしまう

 

鉛筆で<はる、春、悠(はる)>と書いてゆく罫線の畝に種まくように

 

 

 

 


加古陽歌集『夜明けのニュースデスク』

判型:四六判上製カバー装

頁数:216頁

定価:2,750円(税込)

ISBN978-4-86629-344

 

人と人を結ぶのは言葉

             帯文よりー 佐佐木幸綱

 

 

<栞付き>

 

歌に込められた”戦禍の記憶”   大石芳野

硬派の抒情性         栗木京子

事実から歌へ         小池昌代

 

 

<引用10首>

星空を朝日が殺す一点の曇りなき日を始めるために

 

白紙からつくりはじめる新聞は日々完全を追う不完全

 

蜂蜜が頤(おとがい)を垂る逝く日までニュースにまみれ生きてゆくのか

 

湧き上がる。真夏の空の青さから積乱雲の白とめどなく

 

近づいてゆけばゆくほど雲離れ遠い水平線だ、読者は

 

ドローンの眼で見るドリップ珈琲の乾きゆく核燃料プール

 

魚跳ねて傷む水面を縫う針の迅き運びを重力という

 

感情は液体としてここにあり湧く、込み上げる、浸る、溺れる

 

薄曇に白くけぶれる名残りの月 きょう本当を伝えられたか

 

共同通信の修正電文流れてきてひと文字直す「る」から「た」へと

 

 

 

 


「短歌往来」2024年10月号

850円(税込)

 

◉巻頭作品21首

まぼろしならず/林田恒浩

 

◉特別作品33首

雲と矢印/春日いづみ

ここに、そのとき/糸川雅子

 

◉評論シリーズ21世紀の視座

「少女の友」というSNS/白川ユウコ

 

【特集】趣味・嗜好のうた

伊勢方信、河野小百合、鷲尾三枝子、田村元、高旨清美、山内頌子、島ゆり、三平忠宏、伊良部喜代子、彦坂美喜子、秋山周子、生沼義朗、小鳥沢雪江、小島涼我

 

◉作品7首

窪田司郎、青木陽子、小山常光、三井ゆき、大熊俊夫、足立晶子、石井利明、秋山佐和子、田土成彦

 

◉作品13首

松村正直、岡本育与、北久保まりこ、五十嵐順子、田中章義、腰山佑子、伊志嶺節子小林さやか、佐藤晶、安富康男、堀田季何、池田美恵子、川又和志

 

◉作品8首

長谷川紫穂、児島昌恵、宮下俊博、小村井敏子、後藤秀彦、吉野節子、三原香代、仲西正子

 

◉新・自然を詠む・撮る・描く/袴田ひとみ

 

◉結社誌最新号「短歌」/大塚寅彦

 

◉今月の視点/玉城洋子

 

◉今月の新人/青山美樹

 

◉新刊歌集歌書評

御供平佶著『千代國一の歌』/内田弘

一ノ関忠人歌集『さねさし曇天』/上條雅通

中根誠歌集『鳥の声』/外塚喬

太田裕万歌集『二本目の杖』/植山俊宏

長澤ちづ歌集『振り子の時計』/沖ななも

彦坂美喜子著『春日井建論』/古谷智子

 

 

◇連載◇

1ページエッセイー島田修三、加藤治郎

歌・小説・日本語/勝又浩

菅江真澄の旅と歌/豊島秀憲

「首」のはなし/水城春房

佐佐木信綱歌集『遊情吟藻』鑑賞/佐佐木朋子

岡野弘彦論/沢口芙美

浪々残夢録/持田綱一郎

時言・茫漠山日誌より/福島泰樹

名画と名歌/丹波真人

 

◉作品月評/藤野早苗

 

◉評論月評/寺井龍哉

 

◉表紙画/松本秀一

◉本文カット/浅川洋

 

 


原口嘉代子歌集『飛鳥』

定価:2,860円(税込)

判型:A5判上製カバー装

頁数:224頁

ISBN978-4-86629-337-0

 

第一歌集!

 

君よりの長き手紙を読むやうに炉辺(ハース)にひとり炎見つむる

 

曽祖母も祖母母我も張り継ぎて障子よ清し百年の家

 

紀の国を初めて旅し木と水と石より成れる土地と知りたり

 

 

名詞が多く、なかんずく固有名詞が多い歌集だからだろう、めりはりがきいて輪郭のすっきりした歌が多い印象である。歌集には、家族をはじめ多くの人名が歌われ、多くの地名、多くの具体的事象が歌われている。あくまでも具体的な点が特色である。さらに私が注目したのは、作者の好奇心の強さと、行動力である。縄文杉を見るためにわざわざ屋久島まで行った歌、髙橋真梨子の最後のコンサートに行った歌などがあって驚かされた。

 

--------------------------------------------------------------------------------------佐佐木幸綱 帯文

 

 

 

 

<引用五首>

 

屋久島の真青の海を胸張りて直線にとぶ飛魚の群

 

秋植ゑの葱すんすんと伸びあがる春雨降らす空に向かひて

 

ひもすがら古本屋街歩きにき一冊の本とラドリオの珈琲

 

廃線の転轍機ギと動かして幻の汽車来さしめむかな

 

腕組みてかの月見台に立ちをらむ文届けかし雁に託せば

 

 

 


「短歌往来」2024年9月号

850円(税込)

<定期購読のお申込み承っております>

1年間10,200円、半年5,100円

◉巻頭作品11首

百年を生きて/岡野弘彦

◉巻頭作品21首

閑居の井守/内藤明

 

◉特別作品33首

近づく百歳/逸見久美

月の船/大塚寅彦

 

【特集】

邂逅別離のうた

 

作品十首+エッセイ

高野公彦、小池光、俵万智、平山良明、綾部光芳、佐波洋子、和嶋勝利、久保とし子、大森悦子、橋本千惠子、島晃子、児島直美、松浦彩美、楜澤丈二

 

◉作品7首

秋葉四郎、足立敏彦、長谷川富市、飯沼鮎子、さいとうなおこ、園部みつ江、内野信子、林昭雄、小寺三喜子、松岡秀明

 

◉作品13首

木村雅子、米山髙仁、江畑實、大西久美子、田中翠友、今井恵子、大崎瀬都、森部信次、小川恵子、若菜邦彦、尾﨑朗子、佐藤よしみ、小林幹也、角明

 

◉作品8首

島内美代、斎藤千代、佐藤夏子、小原文子、木原美子、東野千穂子、木戸敬、杉山みはる、鈴木通子、小林芳枝

 

◉結社誌最新号

未来/大辻隆弘

 

◉今月の視点/小長井涼

 

◉今月の新人/砂岡春奈

 

◉追悼ー田中教子/中西翔馬

 

◇連載◇

島田修三、加藤英彦

勝又浩、水城春房、佐佐木朋子、沢口芙美、持田綱一郎、丹波真人、豊島秀憲

 

◉新刊歌集歌書評

秋葉四郎著『随想茂吉』/佐藤通雅

外塚喬歌集『不変』/沖ななも

斎藤美知子歌集『時空はるかに』/小橋芙沙世

 

◇作品月評◇

七月号より/藤野早苗

 

◇評論月評◇寺井龍哉

 

◉全国往来情報

 

◉編集後記

 

 

 

 

 

 

 

 


江畑實著『創世神話「塚本邦雄」初期歌集の精神風景』

定価:1,980円(税込)

判型:四六判並製カバー装

頁数:300頁

ISBN978-4-86629-334-9

炎のように青くー

塚本邦雄、前衛歌人の軌跡

冷徹にしてときに青く炎だつ、灼熱の詩的パンセ!

 

 

若き日の葛藤、苦悩、そして情熱…

塚本邦雄の初期歌集誕生の時代背景と内的ドラマを克明に辿り、その作品価値を現在に再創造する。

冷徹な分析と情熱的な論考が織り成す、470枚の圧倒的な詩的思索。文学とは何か、そして前衛とは?

 

<目次より>

「前衛以前」に胚胎するもの

『水葬物語』の生成

死の歌の互換可能性

死という栄光

『往復書簡』-批評の戦場

『透明文法』のメトード

『装飾樂句』-倒立した硝子のオブジェ

『日本人靈歌』-革命か、ニヒリズムか

『水銀傳説』-孤立無援の「前衛派」

『水銀傳説』-「言語フェティシズム」の詩法

『緑色研究』-藝術至上萬華鏡

『感幻樂』-「闘争」の季節に

『星餐圖』-韻律の彼岸へ

 


高山邦男歌集『Mother』

定価:2,530円(税込)

判型:四六判並製カバー装

頁数:214頁

ISBN978-4-86629-340-0

第29回若山牧水賞 受賞!!

 

 

スプーンで口元に運ぶカレーライス二人羽織めく母の食事は

 

生きるとは死ぬまで生きむとする力テーブルの海に母の手泳ぐ

 

「介護と言うと何か負の側面が強調されがちですが、私自身の感覚としては困難とか苦しさより楽しさとか喜びを歌ってきたという思いがあります」(あとがきより)

 

抒情詩の可能性を追い求める作者の優しくも切ない短歌集!

 

<引用五首>

もたもたと着替へて布団の中に入り母は安心満点の顔

 

母と歌ふきらきら星は途中まで買ひ物帰りの冬のゆふぐれ

 

笑つてるやううな寝顔で眠りをる母は無言でわたしを救ふ

 

美味しくて食べたいときは前に出る口へとまぐろの赤身をはこぶ

 

天人に寿命があるといふ話うつくし真夏の夕暮にゐて

 


井野佐登歌集『アボカド号』

定価:2,860円(税込)

判型:四六判上製カバー装

頁数:242頁

ISBN978-4-86629-339-4

 

第七歌集!

 

 

晴れた日はアブラカダブラ風になりアボカド号で海辺を走る

 

歌という幻想空間に立つ。眩暈のような日常の束。

コロナ、ウクライナ、時代の大きなうねりの中で、なだらかな地平の彼方から美しい言葉を捥ぎ取る。

 

<引用五首>

おだやかなわが三河湾北東へ波は微粒の砂はこびをり

 

いちにちを足したり引きたりせよといふ日付変更線ばかりが平和

 

ウクライナを遠き国とは思はない 三月のあさ空をゆく雁

 

春ひと日街を歩みてボルドーの白アスパラのひかりを食べる

 

まひるまの八百屋に着弾片のどと白いいちぢく赤いいちぢく

 

 

 


「短歌往来」2024年7月号

850円(税込・送料弊社負担)

ご注文はメール、電話で承っております。

info@nagaramishobou.co.jp

03-3234-2926

 

◉巻頭作品21首

ついぞ縁なく/大下一真

 

◉特別作品33首

食草園/永田和宏

【蟲盡愛讃歌百首】抄/水城春房

 

◉異色対談ー神田伯山×森本平

 

◉評論シリーズ21世紀の視座

短詩型韻律攷・第一章(3)/江田浩司

 

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特集 紫陽花の季節

 

作品十首+エッセイ

小島ゆかり、恩田英明、冬道麻子、岩内敏行、松井純代、川田由布子、武田素晴、高旨清美、藤室苑子、鈴木陽美、平石眞理、内藤賢司、久保富紀子

 

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◉作品七首

楠田立身、永田紅、川口城司、金子貞雄、下村すみよ、久保田壽子、橋本千惠子、中川昭、森川多佳子、藤島秀憲

 

◉作品十三首

黒岩剛仁、苅谷君代、染野太朗、彦坂美喜子、高原桐、山田航、三澤吏佐子、花山周子

 

◉作品八首

永田理一郎、吉藤純子、武田豊、安斎未紀、西崎恭司、片山紫、安富康男、森藍火、難波一義、柿本希久、大岩洋子、兼平一子

 

◉新・自然を詠む・撮る・描く

造幣局 桜の通り抜け/川本千栄

 

◉結社誌最新号ー地中海/久我田鶴子

 

◉追悼ー村木道彦

伝説の歌人逝く/晋樹隆彦

 

◉新連載ー岡野弘彦論①/沢口芙美

 

◆連載◆

島田修三、加藤治郎、喜多弘樹、勝又浩、豊島秀範、佐佐木朋子、持田綱一郎、福島泰樹

 

◉今月の視点/清水あかね

 

◉今月の新人/宮 梓一

 

◉新刊歌集歌書評

高野公彦著『歌の魅力の源泉を汲む』/佐藤通雅

内藤明歌集『三年有半』/大辻隆弘

駒田晶子著『つれどれならざる』/高木佳子

鷺沼あかね歌集『天朗』/小黒世茂

影山美智子歌集『白梅玄冬』/三井修

園部みつ江歌集『命をぢかに』/磯田ひさ子

 

◉作品月評/藤野早苗

◉評論月評/寺井龍哉

 

■全国往来情報

■編集後記

 

 

 


斎藤美知子歌集『時空はるかに』

定価:2,750円(税込)

判型:四六判上製カバー装

頁数:170頁

ISBN978-4-86629-332-5

前歌集の『アレジアは雨』からほぼ十年。

この歌集にはさらにいとおしい家族たちを著者はひたすらに詠い上げている。

作品はいかにもしっとりとした詩情にあふれ、著者ならではの世界をさらに切り開いて行こうとする姿勢が強く窺える。長年つれそってきた一人を偲ぶ作品は、人間としてのかなしみにあふれ、切々として読む人の心を執えてやまないものがある。

 

帯文 林田恒浩

 

 

 

 

<引用 六首>

さゐさゐと葉に降る雨の閑かなり白あぢさゐは誰が魂ならむ

 

疲れ兆す身にはしなくも沁みとほる夏うぐひすの透明の声

 

冥界の姉とわれとをつなぐ路爪木崎さかりの水仙を訪ふ

 

さすらひの想ひはきざす昼の月かくあはあはとわれに晩年

 

連なりて無蓋の貨車が北へゆくながく忘れてゐたる風景

 

はからずも泪こぼれき伏す夫が掌を述べて言ふ「今日もありがたう」

 


太田裕万歌集『二本目の杖』

定価:2,860円(税込)

判型:四六判上製カバー装

頁数:278頁

ISBN978-4-86629-336-3

 

遍路。

それは祈りのかたち。

祈りは、やがて詩ごころへと昇華される。

身辺日常のものたべて、まばゆい歌のかけら。

悠々と拾い集めながら、この細い透明な小道をゆくのみ。

 

 

<引用 五首>

からからと去年の若葉が風にちる今年の若葉の陽に透ける谷

 

どうぞもう好きにいきてくださいと満作が咲く冬晴れの庭

 

はぐれ雲ふたつ浮かべる山麓のまだ濡れている駅につきたり

 

袈裟、数珠と地図もテッシュも雨に濡る白ビニールの頭陀袋なり

 

光るからまれにみかける百円よ微笑みおびて咲くがごとくに

 

 


「短歌往来」2024年6月号

定価:850円(税込・送料込)

 

【特集】

発表! 

第22回前川佐美雄賞

第32回ながらみ書房出版賞

 

前川佐美雄賞

受賞の言葉

川野里子歌集『ウォーターリリー』50首抄

 

ながらみ書房出版賞

受賞の言葉

鈴木英子歌集『喉元を』25首抄

 

選考を終えて

島田修三、松村由利子、本田一弘、井坂洋子

 

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◉巻頭作品21首

雑用/森山晴美

 

◉特別作品33首

Pray for you(朝の祈り)/谷岡亜紀

ゆつくりと/池田はるみ

 

◉評論シリーズ21世紀の視座

鴎外の短歌/山本枝里子

 

◉異色対談 話術としらべの交差点

神田伯山×森本平

 

◉作品7首

藤岡武雄、三宅勇介、千々和久幸、藤井幸子、當間實光、結城千賀子、大山敏夫、坂本朝子、林三重子

 

◉作品13首

辰巳泰子、三井修、沖ななも、中西敏子、江畑實、三平忠宏、中野たみ子、松本高直、千家統子、山下雅人、三輪良子、南輝子、鷺沼あかね

 

◉作品8首

小林暁子、中山洋祐、大村誉子、村山伀、紫あかね、蒲ヶ原朱美、武藤敏春、腰山佑子、髙崎圭子、武富純一、長谷川静枝、吉沢あけみ

 

◉新・自然を詠む・撮る・描く

うるまの島山/伊波瞳

 

◉結社誌最新号

心の花/森屋めぐみ

 

◇連載◇

◉一ページエッセイ

「名古屋の子だがね」/島田修三

「筑摩書房『現代短歌全集」/加藤治郎

吉野の波/喜多弘樹

 

◉<歌·小説·日本語>音読、黙読その他/勝又浩

 

◉<菅江真澄の旅と歌>『えぞのてぶり』後半/豊島秀範

 

◉「首」のはなし/水城春房

 

◉<佐佐木信綱歌集『遊情吟藻』鑑賞/佐佐木朋子

 

◉<大岡博評伝>(最終回)/青戸紫枝

 

◉浪々残夢録

『源氏物語』における主語/持田綱一郎

 

◉時言·茫漠山日誌より『老友』/福島泰樹

 

◉今月の視点

山内頌子

 

◉今月の新人

国兼麻貴

 

◉新刊歌集歌書評

吉村美紀恵歌集『バベル』/生沼義朗

三井修歌集『天使領』/恩田英明

下村すみよ歌集『空色の箋』/内野光子

安斎未紀歌集『掌上動物園』/鈴木英子

西崎恭司歌集『けふの青空』/本田一弘

武田豊歌集『抱える棘』/中川佐和子

 

作品月評ー四月号より/藤野早苗

評論月評/寺井龍哉

 

全国「往来」情報

 

編集後記

 

 

 

 


石原美智子歌集『心のボタン』

定価:2,750円(税込)

判型:四六判上製カバー装

頁数:176頁

ISBN978-4-86629-333-2

 

第一歌集

 

許せぬが許すにかはる変換キー心のボタンを少しずらして

 

石原美智子さんに会うと、温かな笑顔にこちらの気持ちまで優しく温かくなる。

私だけでなく他の人もそうである。だから友だちもファンも多い。だが、石原さんが穏やかな表面と別の渾沌とした鋭い内面を当然ながら秘めていることをこの歌集は教えてくれる。「心のボタン」をいつも調節して生きている「心の苦労人」なのだとあらためて思う。彼女が苦楽を味わいながら過ごしてきた長い時間、家族とともに過ごしてきた濃密な時間に想いを致す一冊である。

                                                                                                          伊藤一彦 帯文

 

 

 

<収録歌より>

草かげに野地菊さけりひつそりとうす紫を秋に託され

 

すぎてゆく時を刻み吾亦紅(われもかう)冬には冬の姿に立てり

 

声だせば地球の向かうへ届くやう青空だけの宮崎の冬

 

我が持てる小型船舶操縦士二度しか使はぬ免状あはれ

 

同じむき同じ間隔に飛ぶ雁よ茜にそまる山の端を背に

 

 


「短歌往来」2024年5月号

850円(税込)

 

<主な内容>

◉巻頭作品21首

雪ものがたり/三枝浩樹

 

◉特別作品33首

余映/小笠原和幸

雪とアユタヤ/大森静佳

 

◉評論シリーズ21世紀の視座

短詩型韻律攷・第一章(2)/江田浩司

 

◉異色対談 神田伯山×森本平

話術としらべの交差点/第三回

 

– * –  * – * – * – * – * – * – *– * – * – * – * – * – * – * – *

 

【特集】全国の花・植物を詠む

作品6首+エッセイ

柊明日香、林昭雄、山口明子、駒田晶子、菅原恵子、小関祐子、伊東ミイ子、熊谷富雄、田名網順子、武藤敏春、綾部光芳、久々湊盈子、藤室苑子、川田茂、佐々木伸彦、平岡和代、永井正子、片岡直子、秋元千惠子、近藤芳山、小川恵子、壷井和子、小塩卓哉、大辻隆弘、小潟水脈、魚村晋太郎、上田明、安藤直彦、萩岡良博、水本光、池本一郎、寺井淳、野上洋子、多賀陽美、上村典子、竹安隆代、兵頭なぎさ、川又和志、小橋芙沙世、奥村秀子、江副壬曳子、碇博視、鹿井いつ子、伊勢方信、植田美紀子、川涯利雄、玉城洋子

 

– * – * – * – * – * – * – * – *– * – * – * – * – * – * – * – *

 

◉作品13首

河野小百合、五十嵐順子、豊岡裕一郎、吉田直久、三枝むつみ、田中伸治、平林静代、上條素山、飯島智恵子、加藤走、小島涼我

 

◉結社誌最新号

香蘭/千々和久幸

 

◉今月の視点/大井学

 

◉今月の新人/児玉朋己

 

◉新刊歌集歌書評

香川ヒサ歌集『The quiet light on my journey』/松村由利子

大松達知歌集『ばんじろう』/松村正直

福田淑子歌集『パルティータの宙』/加藤英彦

楠誓英歌集『薄明穹』/石川美南

腰山佑子歌集『メープルの落葉』/秋葉静枝

佐藤博之歌集『殘照の港』/松澤俊二

 

 

<連載>

島田修三、加藤治郎、喜多弘樹

勝又浩、豊島秀範、水城春房、佐佐木朋子、青戸紫枝、持田綱一郎、福島泰樹、丹波真人

 

◉作品月評(三月号より)/崔ソハ

 

◉全国往来情報

 

◉編集後記

 

◉表紙画/谷岡暁

 

◉本文カット/浅川洋

 

 

 


「短歌往来」2024年4月号

850円(税込)

 

◉巻頭作品21首

吊花の森/王紅花

 

◉特別作品33首

鷦鷯/島崎榮一

水仙はまだまっすぐに咲いている/佐伯裕子

 

◉一ページエッセイ

島田修三、加藤治郎、喜多弘樹

 

◉評論シリーズ 21世紀の視座

桑原武夫「第二藝術論ー現代俳句についてー」/小島涼我

 

◉異色対談ー神田伯山 × 森本平

話術としらべの交差点第2回>

 

◆◇◆◇◆◆◇◆◇◆◆◇◆◇◆◆◇◆◇◆

【特集】私の惹かれる風土・情景

 

作品8首+エッセイ

時田則雄、玉城洋子、黒瀬珂瀾、大口玲子、木村雅子、恒成美代子、中根誠、久我田鶴子、喜多弘樹、廣庭由利子、久保美代子、楜澤丈二、川涯利雄、山本枝里子

 

◆◇◆◇◆◆◇◆◇◆◆◇◆◇◆◆◇◆◇◆

 

◉作品7首

栗木京子、小石雅夫、志垣澄幸、影山美智子、嵯峨直樹、玉城寛子、棚木恒寿、名嘉真恵美子、池原初子、佐野豊子

 

◉作品8首

堀亜紀、西田郁人、大地たかこ、近藤芳仙、谺佳久、青木カズコ、木村文子、斎藤皓一、楠田智佐美、鈴木隆夫

 

◉作品13首

大辻隆弘、青木陽子、荻本清子、小林さやか、冨樫榮太郎、藤岡成子、宮本清、高橋みずほ

 

◉新・自然を詠む・撮る・描く

初冬/長谷川富市

 

◉結社誌最新号

かりん/米川千嘉子

 

◉連載◉

島田修三、加藤治郎、喜多弘樹、勝又浩、豊島秀範、水城春房、佐佐木朋子、青戸紫枝、持田綱一郎、福島泰樹、丹波真人

 

◆追悼ー下村道子/田村広志

 

◉今月の視点/川本千栄

 

◉今月の新人/奥 武義

 

◉新刊歌集歌書評

逸見久美著『わが研究回顧への思慕』/福田淑子

外塚喬著『うたの徒行』/久保田登

上村典子歌集『アペリティフの杯』/恒成美代子

源陽子歌集『百花蜜のかげりに』/中津昌子

大村誉子歌集『大切なわたし』/和田沙都子

髙崎圭子著『文字摺の花』/鈴木英子

蒲ヶ原朱実歌集『未知なるもの』/田名網順子

 

◉作品月評/崔ソハ

◉評論月評/中西翔馬

◉全国往来情報

◉編集後記

◉表紙作品/谷岡暁

◉本文カット/浅川洋

 

 


鷺沼あかね歌集『天朗』

定価:2,750円(税込)

判型:四六判上製カバー装

頁数:196頁

ISBN978-4-86629-328-8

 

第二歌集!

 

たとえば空の青の深処へ

そっと言葉を置く。いつか、どこかで

置き去られたはずの言葉が輝きを放ち始める。

平凡な日常であっても、病む日々であっても。

すべてを歌のしらべに委ねて、命の気息を確かめたい。

 

 

 

<引用5首>

冬木の枝いつぱいに咲く雪の花あしたの空へ散りかへるべし

 

しかられて暗くなるまで歌ひたりひとり鞠つき「あんたがたどこさ」

 

オリオンの三つ星さしてありんこの行列きたと麻里ちやん笑ふ

 

反物は茜の光 ひろげれば花輪の山を染める夕焼け

 

天の河かかり星団あまたある肺の宙なるCT画像

 

 

 

 


園部みつ江歌集『命をぢかに』

定価:2,750円(税込)

判型:四六判上製カバー装

頁数:180頁

ISBN978-4-86629-329-5

第四歌集

 

 

信頼篤い二人が見つめ合う互いの眼差しに

「命をぢかに」と気づいた含羞が眩しい。

 

愛の歌集の

深く尊い味わいと出会えた。

 

御供平佶 帯文

 

 

 

 

<引用5首>

 

光背を炎(ほむら)に凝らす目にやがて七羽の火の鳥の影

 

紅葉の樹々のあはひに奥まれる多宝塔夕べの闇に呑まれぬ

 

ゆかしさの日々に募り来アヴェ・マリア終の別れをわが告げざりき

 

円柱の中ほど太く地震に耐へ大和飛鳥の寺社に伝へ来

 

あたたかき胸にうつぶすわが裡を溢れくるもの零るるままに

 


西崎恭司歌集『けふの青空』

定価:2,200円(税込)

判型:四六判上製カバー装

頁数:154頁

ISBN978-4-86629-326-4

第一歌集

 

 

世界と暮しをゆったりと短歌に抱きとめて楽しむ西崎恭司がいる。 

三枝昻之

 

人生の機微を衒わず、感情過多にならず短歌という定型詩に預けることが出来るのは同世代歌人の中では出色だろう。

渡 英子

 

たくさんの他者との関わりのなかで意外性のある自在な自己像が照らしだされている。

小島なお

 

 

 

<引用 五首>

 

出来るだけ皿を使はぬやうにして妻の居ぬ間の夕餉を済ます

 

メルケルの席を選びぬ伊勢志摩に首脳ら囲みし丸テーブルの

 

父の日に夏の帽子とささやけり幼かりし娘(こ)のねだりし如く

 

八十年戦後を生きて僕たちは一体なにを学んだのだろう

 

運命とふ配り直しの無きカード活かす他なし けふの青空

 


武田豊歌集『抱える棘』

多彩な作品が収められた歌集である。自らの人生や生活について自省し、世の在りように抗議し、また、移り変わる季節の中に草木や生活を見つめ、亡くなった身近な人達、あるいは戦争や災害で命を失った人々への鎮魂の思いを歌に託している。

 

             ― 上條雅通「解説」より ―

 

 

<引用五首>

 

草野球に鈍き動きを謗られて小さき胸に棘の残りき

 

野にあらば風と揺れ合うコスモスの花生けの中に一輪挿さる

 

旅先のモンサンミッシェルのポストより亡き子を宛名に絵葉書出しぬ

 

禁酒日の眠れぬ夜にラジオかけ零時を待ちつつ厨に立ちぬ

 

原発に使わるる石油納めしこと職退きてなお脳裏に残る

 

 


安斎未紀歌集『掌上動物園』

定価:2,530円(税込)

判型:四六判並製カバー装

頁数:172頁

ISBN978-4-86629-325-7

自ら体験した心身の苦しい状況を短歌で表現するということは、その苦悶を追体験することにほかならない。

それは生半可な精神ではできない。

これを表現せずにいられないという強靭な表現意志が必要なのだ。

その表現意志に短歌型式もまた、応えている。

その意味で安斎未紀は、まぎれもなく短歌に選ばれた人である。

短歌に選ばれた人の命がけの表現を受けとめてほしい。

 

            ー藤原龍一郎「解説」よりー

 

 

 

<引用五首>

 

とめどなく花手折りたり眼底に狂ひ回れる観覧車かな

 

病棟がま水に沈む午前零時 我が鼻犬のごとくつめたし

 

呪ふこと傷抉ることわらふこと 雨一滴の紅かれと思ふ

 

掌に象よ、麒麟よ、獅子よ歩め、ものみな小さく見ゆる星月夜

 

眠れぬを日常として暗がりに水色の蛾の舞ひ狂ふなり

 

 

 

 


「短歌往来」2024年3月号

850円(税込)

 

◉巻頭作品21首

まる見えの空/伊藤一彦

 

◉特別作品33首

ストレート、水なし/都築直子

唯唯諾諾/外塚喬

 

◉評論シリーズ 21世紀の視座/江田浩司

 

◉異色対談

神田伯山 × 森本平

話術としらべの交差点 第一回

 

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【特集】アンケート2023年のベスト歌集・歌書

<回答者>

木村雅子、綾部光芳、青木陽子、伊勢方信、松平盟子、池本一郎、髙良真実、久々湊盈子、日高堯子、安田純生、渡英子、森山晴美、萩岡良博、小黒世茂、山下翔、桑原正紀、林和清、加藤英彦、佐藤千代子、中根誠、上田明、玉城洋子、千々和久幸、波克彦、大田美和、前川斎子

 

◆。●○◆。●○◆。●○◆。●○◆。●○◆。●○◆。●○◆。●○◆。●○

 

◉作品7首

橋田昌晴、押切寛子、磯田ひさ子、遠山景一、梓志乃、田中章義、藤田冴、結城文

 

◉作品8首

岩井幸代、市川正子、近田順子、窪川美代子、小林優子、佐藤邦子、久松洋一、椎木英輔、高橋愁、高野昌明

 

◉作品13首

美帆シボ、鈴木英子、上條雅道、平山公一、熊谷龍子、田中拓也、中西翔馬、小川恵子、反田たか子、佐竹キヌ子、河路由佳

 

◉新・自然を詠む・撮る・描く

山茶花と菜の花/田村元

 

◉今月の視点/水門房子

 

◉今月の新人/坊真由美

 

◉連載

島田修三、加藤治郎、喜多弘樹、丹波真人、勝又浩、水城春房、佐佐木朋子、恩田英明、青戸紫枝、持田綱一郎、福島泰樹

 

◉作品月評/崔ソハ

 

◉全国往来情報

 

◉編集後記

 

◆表紙画/谷岡暁

◆本文カット/浅川洋

 


「短歌往来」2024年2月号

850円(税込)

 

◉巻頭作品21首

渋滞/馬場あき子

 

◉特別作品33首

鹿の子/玉井清弘

定石/今野寿美

 

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【特集】オメデトウ 辰年生れの歌人

◆作品12首

松田愼也、渡英子、野地安伯、大朝暁子、梶田順子、真中朋久、岡本育与、清水春美、片岡明、岡崎裕美子、内野光子、今井正和、藤原龍一郎、糸川雅子、佐田公子、今井恵子、石川幸雄、古谷円、水門房子、クリシュナ智子、山本枝里子、川涯利雄、秋山律子

◆作品6首

熊谷富雄、阿部尚子、藤田千鶴、安藤菫、佐々木伸彦、岡田衣代、長瀬和美、三浦武、村山千栄子、杉田伸江、小田倉量平、鈴木香代子、武田素晴、林和子、小林幸夫、大谷真紀子、海沼志那子、吉居瑞枝

 

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◉新・自然を詠む・撮る・描く/大森悦子

 

◉結社誌最新号「ヤママユ」/萩岡良博

 

◉連載

勝又浩、豊島秀範、水城春房、佐佐木朋子、恩田英明、青戸紫枝、持田綱一郎、福島泰樹、丹波真人

 

◉今月の視点/中村佳文

 

◉今月の新人/雨雨雨汰

 

◉書評

玉井清弘歌集『山水』/佐藤通雅

福島泰樹歌集『大正十二年九月一日』/谷岡亜紀

松村由利子歌集『科学をうたう』/江戸雪

小林幸子歌集『日暈』/古谷智子

中村佳文歌集『牧水の聲』/小島なお

鈴木英子歌集『喉元を』/乾遥香

久々湊盈子歌集『非在の星』/中川佐和子

桜川冴子歌集『流』/藤島秀憲

林三重子歌集『桜桃』/長澤ちづ

後藤由紀恵歌集『遠く呼ぶ声』/田村元

 

◉作品月評12月号より/崔ソハ

 

◉評論月評/中西翔馬

 

◉全国往来情報

 

◉編集後記

 

◉表紙画/谷岡暁

 

◉本文カット/浅川洋

 

 


佐藤博之歌集『殘照の港』

 

定価:1,870円(税込)

判型:四六判並製カバー装

頁数:130頁

ISBN978-4-86629-312-7

 

第一歌集!

 

観ずにはいられない、

聴かずにはいられない、

触れずにはいられない。

 

どこまでも対象に肉薄していく言葉たち。

著者の世界に対する解像度の高さによって、世界が現実以上の迫力を持って目の前に立ち上がってくる。

過ぎゆく一瞬、今という時を生き、歌うとはこういうことなのだ。

<帯文 佐佐木定綱>

 

 

 

◉引用五首

 

殘照の靜けさ。木ずれ、波の音。三笠が闇を吸ひて膨らむ

 

千年經る藥師如來の掌の生命線の斯くも短し

 

父に教はりしセミウヰンザーノツトにて謝辭を述べつるぬばたまの通夜

 

百億の稻の寢汗のにほひ立つ眞夏の横て盆地の夜明け

 

ベランダに干したるシヤツの影が伸び妻の背中をひらりくすぐる

 

 


蒲ヶ原朱実歌集『未知なるもの』

定価:2,530円(税込)

判型:四六判上製カバー装

頁数:160頁

ISBN978-4-86629-302-2

 

第一歌集。

 

いまだ見ぬものたち。

いまだに逢えぬものたち。

手探りで、素志のままに、おだやかに。

日常の向こう岸に何かが動く、何者かがささやく。

平成の三十年間を詠み継いできたかけがえのない歌物語。

 

 

<引用五首>

 

産み終へて抜け殻のわれ耳鳴りも秋の夜ふけの闇にゆだねて

 

道端の穴の底ひに幼子は見えざるものを見るにあらぬか

 

未知のもの想ふは楽し例ふれば生まれくる子の性の別など

 

惑星の如く湯舟に浮かぶ柚子自転しながら吾に近づく

 

息ひそめセージの葉陰に動かざる夏の蜥蜴の孤独思ひつ

 

 

 


香川ヒサ歌集『The quiet light on my journey』

定価:2,200円(税込)

判型:四六判並製カバー装

頁数:148頁

ISBN978-4-86629-324-0

待望の第9歌集!!

 

世界や社会を凝視しつつ、

その純粋にして旺盛な批評精神が、

いくばくかの諧謔とユーモアと、

そして深いかなしみを基層として、歌という器にぶつける。

撥ね返ってくるものはどうだっていい。

自分が他者であるために。

 

 

 

 

<引用5首>

人類は「パンツをはいたサル」であり「マスクをつけたサル」ともなつた

 

「ハッピーバースデー」歌ひつつ手を洗ひなさい心までは洗はなくていいから

 

糸瓜咲きロンドン橋は墜ちにけり 三十六歳(さんじふろく)の死九十六歳(きうじふろく)の死

 

軟水で淹れた紅茶にサンキスト・レモン一切れ酸つぱい戦後

 

一本のヒマラヤ杉が人生の記憶に立つが他の樹も立つてる

 

 

 

 


「短歌往来」2024年1月号

850円(税込)

 

◉巻頭作品21首

満艦飾/小池光

 

◉特別作品33首

散歩の二ヵ月/沢口芙美

秋より冬へ/阿木津英

 

【特集】晴れの歌

三枝昻之、米川千嘉子、都築直子、藤島秀憲、青木陽子、平山公一、松井純代、林田恒浩、久々湊盈子、外塚喬、五十嵐順子、三本松幸紀、君山宇多子、源陽子

 

◉評論シリーズ 21世紀の視座

 

短詩型韻律攷・(序)/江田浩司

 

◉作品7首

平山良明、竹安隆代、楠田立身、井辻朱美、安藤直彦、冬道麻子、丹波真人、中村節子、幸野稔、武富純一

 

◉作品13首

小山常光、いずみ司、苅谷君代、田中徹尾、狩野一男、棚木恒寿、佐藤よしみ、森部信次、宮原はな

 

◉作品8首

奥村秀子、真後和子、島内美代、小鳥沢雪江、熊谷富雄、福山祥子、今井はつ子、釣美根子、依田仁美、重田美代子、安富康男、伊藤美耶

 

 

 

◉新・自然を詠む・撮る・描く

真鶴半島の秋/佐波洋子

 

◉結社誌最新号

国民文学/吉田直久

 

◉今月の視点/玉井まり衣

 

◉今月の新人/大村誉子

 

◉連載

島田修三、加藤治郎、田中教子、勝又浩、豊島秀範、水城春房、佐佐木朋子、恩田英明、青戸紫枝、福島泰樹

 

◉新刊歌集歌書評

伊藤一彦著『牧水・啄木・喜志子』/大森静佳

雁部貞夫歌集『鮎』/三井修

三枝昻之著『佐佐木信綱と短歌の百年』/高良真実

柴田典昭歌集『野守の鏡』/川田茂

『成瀬有全歌集』/山下雅人

沢口芙美歌集『変若かへる』/林三重子

市川正子歌集『風越』/鈴木竹志

 

◉作品月評/崔ソハ

 

◉評論月評/中西翔馬

 

◉全国往来情報

 

◉表紙画/谷岡暁

 

◉本文カット/浅川洋

 

 

 

 


大村誉子歌集『大切なわたし』

定価:2,200円(税込)

判型:四六判上製カバー装

頁数:148頁

ISBN978-4-86629-322-6

第一歌集。

 

失ったすべての後、短歌が作者に新しい希望を与えた。

悲しみと回復の物語、

一つ一つの歌が彼女の心の声を映し出す。

新たな人生を歩む彼女の勇気を感じて欲しい

 

                   帯文 佐佐木頼綱

 

 

『大切なわたし』より5首

 

障害の身の上のこと秘めたまま生きゆく先の黙秘は難し

 

生きること数多抱える生き辛さ風薫る今皆に伝える

 

勝ち負けを問う大人にはなれなくて作業所通う障りある身の

 

夏めきて過ぎしひととせ清和なる作業所通う吾を労る

 

梅雨晴れにかかりし虹を見る吾の皆の助けに感謝し生きる

 

 


時田則雄歌集『売買川』

定価:2,530円(税込)

判型:四六判並製カバー装

頁数:178頁

ISBN978-4-86629-317-2

 

第13歌集。

 

売買川―ウリカリ、アイヌ語で捕った魚を集める所

 

春が来ればせせらぎのひびき。

白い辛夷の花が咲き、蝶やトンボが群れ飛ぶところ。

この北の大地にどっしりと深く根を張る樹。

歌う樹だ。雄々しく、野太い声で大空に向けて叫ぶ樹だ。

 

 

『売買川』より四首

 

長靴の中なる闇の薄らぎて今日が静かに動きだしたり

 

足の裏から生まれる歌のあることを知つてゐるのはポロシリカムイ

 

日溜りの石のものいふ火の匂ひ水の匂ひを漂はせつつ

 

深呼吸すれば肺腑に春の香の満ちて農魂拳に集ふ

 

 


豊岡裕一郎歌集『ネコぎらいと猫』

定価:2,640円(税込)

判型:四六判並製カバー装

頁数:186頁

ISBN978-4-86629-315-8

 

第二歌集!

 

この世とあの世との境目に、

あるいは現実と幻想の交差点に、

猫がうろついている。ぼくも同じだ。

異界のまどろみに腕を入れて、言葉たちをもぎ取る。

ぼくの世界はどこにあるのか。酩酊し、さ迷い続ける旅人。

 

 

 

<引用5首>

 

わが歩み過ぎりゆくとき猫の耳ほっそりと立つ眠りながらに

 

上を向き夜空を照らしめぐる灯はこの世の側ゆえだれも応えず

 

おんなというほのかな業(わざ)も世にありて ほそやかな肩を夏陽に曝す

 

存在のゆらぎのように陽をあびるマンホール縁の小砂の若草

 

かぎりなく偶然の景であるさびしさよ木々の罅入るよごれた空は


「短歌往来」2023年12月号

850円(税込)

 

目次より

 

◉巻頭作品21首

「コロナ」を想ふ/逸見久美

 

◉特別作品33首

唐桑産メカブ/佐藤通雅

菊世萩世/小黒世茂

 

◉評論シリーズ21世紀の視座/江畑實

 

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【特集】

題詠による詩歌句の試みー自然を詠むー

自然派宣言/高橋睦郎

プロローグ・秋/水原紫苑

千年の瀧/長谷川櫂

神のマジック/中原道夫

長瀞/内藤明

圖體/閒村俊一

涙の本意/佐々木幹郎

彼岸のあとさき/大下一真

ふるさとは/坪内稔典

ほむすび、ほしづめ、そのほのように(エスキス)/野村喜和夫

花に会いにゆく/加藤英彦

隠岐/小澤實

木は旅する/中上哲夫

更待月/秋山佐和子

ひかり/櫂未知子

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◉作品7首

黒木三代代、桑原正紀、駒田晶子、武田素晴、本阿弥秀雄、桂保子、宮原勉、黒羽泉、永吉京子

 

◉作品13首

滝下惠子、大和志保、松森邦昭、玉井まり衣、丸山順司、吉村明美、大谷雅彦、倉石理恵

 

◉新・自然を詠む・撮る・描く

雲/時田則雄

 

◉結社誌最新号

歌と観照/小山常光

 

◉追悼(横山岩男)/吉田直久

 

◉作品8首

大塚亜希、野上洋子、園田昭夫、堀亜紀、野本研一、北久保まりこ、小林芳枝、秋葉静枝、永井秀幸、上條素山

 

◉今月の視点/田村元

 

◉今月の新人/貝塚薫

 

◉連載

島田修三、加藤治郎、田中教子、勝又浩、豊島秀範、水城春房、佐佐木朋子、恩田英明、青戸紫枝、持田綱一郎、福島泰樹

 

◉新刊歌集歌書

谷岡亜紀著『歌人の肖像』/恒成美代子

阿木津英著『女のかたち・歌のかたち』/江田浩司

渡辺幸一歌集『プロパガンダ史』/下村すみよ

米山髙仁歌集『令和』/千々和久幸

川野里子歌集『ウォーターリリー』/川本千栄

大塚亜希歌集『くうそくぜしき』/山本夏子

五所美子歌集『風師』/和田沙都子

岡貴子歌集『火の橋慕情』/山野吾郎

大野道夫著『つぶやく現代の短歌史』/松村正直

 

◉作品月評/崔ソハ

 

◉評論月評/中西翔馬

 

◉全国往来情報

 

◉編集後記

 

 

 


森朝男著『続 古歌に尋ねよ』

定価:2,200円(税込)

判型:四六判並製カバー装

頁数:228頁

ISBN978-4-86629-318-9

前著『古歌に尋ねよ』を継承した、珠玉のエッセー。

 

日本社会と日本人の生は、今、並々でない転換期を迎えている。こういう時にこそ、大きく遠い歴史をふり返ることが必要だ。短く読みやすい古典<和歌>を窓として、我々の<今>を抱えつつ、歴史的世界の人間たちに問を発してみよう。

 

▶▶主な項目

 

第一章 炉心溶融紀の十年

炉心露出の後に

もっと大地の方へ など

 

第二章 王朝 日本文芸の故郷

歌語という技芸

和歌の情感の成立 など

 

第三章 今 熱く学べ 日本中世

良経秋色

鴫立つ沢 など

 

第四章 色好みのモラリティ

色好みと鼻

恋と禁忌 など

 

第五章 和歌の造型と生態

和歌と古代国家

風景の成立 など

 

第六章 訪ね歩き 古歌の里々

香薬師よ、いずこ

桜田へたづ鳴き渡る など

 

 

「炉心溶融期の十年」は、高度技術時代に生きる我々の危うさと伝統的心性との関係を考える。

「王朝 日本文芸の故郷」「今 熱く学べ 日本中世」では、我々の

感性の源流と、その大変革期である中世の様相を、転換期の今日的課題に引き付けて思索する。また「色好みのモラリティ」では、今日なお変わらぬ、日本人の情緒的・美的なモラル感覚の源を究明する。・・・

 

▶▶著者について

1940年生まれ。早稲田大学文学部および大学院文学研究科を卒業・終了。専攻は和歌文学・日本古代文学。博士(文学)。フェリス女学院大学名誉教授。

 

 


鈴木英子歌集『喉元を』

定価:2,640円(税込)

判型:四六判上製カバー装

頁数:176頁

ISBN978-4-86629-3141

待望の第五歌集!

 

月島、勝どき橋、佃、晴海。

そこは東京の異界、作者の産土の地。

現実をそのままに受容し、あらんかぎりの思いをこめて、娘に、母に、すべての日常の中ですれ違ってきた人々に。

あかあかと血の夕映えを吐き続ける。心が震える。歌が顫える。

 

 

『喉元を』より五首

 

桜さくら戦後をふぶき一本の樹命、寿命を迎えるらしき

 

セルロイドみたいな声だ 本当に愛しているのは他人ではない

 

身の内に積もる憂いをわたくしも春に噴くかな春を噴くかな

 

われの手がはるか武将の太首を刎(は)ねたることのなきとは言えず

 

わたしのなかの鍾乳洞が喉元を過ぎたしずくを湛え続ける

 

 


「短歌往来」2023年11月号

定価850円(税込)

 

◉巻頭作品

五里霧中/高野公彦

 

◉特別作品

秋の霞~筑紫・肥前行~/奥田亡羊

ハーフムーンの風/梅内美華子

 

◉評論 21世紀の視座

現代短歌における「われ」と「きみ」の位相/柾木遙一郎

 

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【特集】アフターコロナ禍のハードワーキングを詠む

〔システムエンジニア〕大井学

〔大学事務職員〕後藤由紀恵

〔精神科医〕松岡秀明

〔大学准教授〕桜川冴子

〔中小企業の海外展開アドバイザー〕梅原ひろみ

〔財団職員〕服部崇

〔眼科醫〕米山髙仁

〔新宿ゴールデン街Bar十月〕くぼたかずこ

〔図書館専門員〕島ゆり

〔豆腐店〕城俊行

〔クリニック院長〕伊藤祐風

〔農業〕水本光

〔商社勤務〕富見井高志

〔珈琲豆専門店販売事務〕松浦彩美

 

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◉作品7首

雁部貞夫、藤原龍一郎、河野小百合、大河原惇行、久山倫代、秋元千惠子、小寺三喜子、千家統子、髙安勇、加藤孝男、下村すみよ

 

◉作品13首

御供平佶、大森悦子、吉濱みち子、青山仁、間ルリ、渡辺泰徳、松谷東一郎、山内頌子、ファブリ

 

◉作品8首

杉山みはる、谺佳久、深山嘉代子、白倉一民、池田晴子、斉藤真伸、山下和代、高橋美香子、内藤賢司、森みずえ

 

◉新・自然を詠む・撮る・描く

賢治を探す/山口明子

 

◉結社誌最新号

新日本歌人/小石雅夫

 

◉今月の視点/浜口美知子

 

◉今月の新人/綿田友恵

 

◉連載◉

島田修三、加藤治郎、田中教子、勝又浩、豊島秀範、水城春房、佐佐木朋子、恩田英明、青戸紫枝、持田綱一郎、福島泰樹

 

◉新刊歌集歌書評

坂井修一歌集『塗中騒騒』/河野美砂子

横山季由歌集『唐鬼』/喜多弘樹

松平盟子著『与謝野晶子の百首』/久々湊盈子

布々岐敬子歌集『野に還りゆく』/平山公一

橋田昌晴歌集『虹立つ』/君山宇多子

松森邦昭歌集『しゃれこうべの歌』/松岡秀明

丸山順司歌集『鬼との宴』/森山晴美

玉井まり衣歌集『しろのせいぶつ』/魚村晋太郎

 

◉作品月評/崔ソハ

◉評論月評/中西翔馬

◉全国往来情報

◉編集後記

 

 

 

 


林三重子歌集『桜桃』

定価:2,640円(税込)

判型:四六判上製カバー装

頁数:184頁

ISBN978-4-86629-308-0

こころの裡にひろがる街。

さびしい光の街並み。

その光をそっと掬い取るように歌を詠み継ぐ。

 

たとえば単調な日常の風景や人々の暮しなどに、豊かで純粋な詩情を注ぐ。それが歌のかたちと信じつつ。

 

 

 

 

『桜桃』より五首

 

小さなる脇屋根にさへ瓦あり雪積む村の人のゆたけさ

 

ひそやかな恋のごとくに開きゐる茗荷の花のうすき黄の花

 

潮鳴りを聞きたしと日々に思へども今朝は鴉のこゑを聞くのみ

 

きさらぎは優しく生きむ青空の隈なく光りて北の風吹く

 

柿若葉青葉になりて過ぎながら硬くなりゆく思考さびしむ

 

 

 


高野昌明歌集『まはからびんか』

定価:2,640円

判型:四六判並製カバー装

頁数:204頁

ISBN978-4-86629-313-4

 

第三歌集。

 

道のり遠く 

時こそ長けれーーー。

 

 

並々ならぬ歌への執心。古きに学び、定型のしらべを感受していく。

さらば、ともに、おおいなる祝福を送ろう。

前方から聴こえてくる、古典という木霊に。

 

 

 

『まはからびんか』より五首

 

ぬばたまの夜長を鳴けよ秋の虫さらば嫁来む汝れこそ知らね

 

スーパーに一人男のカート押す姿増したるこの十年余り

 

春の雨かすかに降るを傘に聞き花朝市の主を待ちゐつ

 

弁当の投げ捨てられし空箱はしばしばなれば人の形代

 

仰ぐべき梢に花の咲かずんばひかりなき根の思ひや果てむ

 

 


田上嘉尋歌集『夕映えの川面』

定価:2,750円(税込)

判型:四六判上製カバー装

頁数:184頁

ISBN978-4-86629-300-4

夕映えの川面を滑る赤白のアメンボ二匹はシングルスカル

 

田上嘉尋さんは宮崎市の中心を流れる大淀川の川沿いをしばしば散策するのだろう。そんなある日夕映えのなかに見たおそらく高校生のボート。「アメンボ二匹はシングルスカル」の捉え方が楽しく面白い。日ごろから若者を愛し、自然を賞でる田上さんならではの歌だ。

家族や自然とともにリタイア後の暮しをゆったりと落ち着いた調べで歌う田上作品は読む者の心を豊かにしてくれる。時に怖いような鋭い作もあるが、それでも人間愛から出ている。

人生のより深みを向かおうとしている田上さんのこれからの歌をさらに期待している。

 

山芋の伸びゆく蔓は現世を手探りしつ依り拠捜せり

 

                   伊藤一彦・帯文

 

 

 

『夕映えの川面』より五首

 

左手に歯磨きの技教へをり新しきわれ探さむとして

 

四人(よつたり)も碁の友来たり足らざれば豚も参加の猪(しし)鍋となる

 

不機嫌が充満したる地球より遁れるごとくソユーズが発つ

 

たつぷりと夏のみづゆく大淀の川に流れぬ月を見る朝

 

回らない寿司なら行くと君は言ふ回るもいいと一度も言はぬ

 

 

 

 

 


伊藤一彦著『牧水・啄木・喜志子』

定価:2,860円(税込)

判型:四六判上製カバー装

頁数:284頁

ISBN978-4-86629-306-6

<近代の青春を読む>

 

郷土宮崎の地から浮遊する強靭な魂。

その空はどこまでも青く澄みきっている。

牧水の歌を、牧水の心を、純粋にして高い文学の志をもって、啄木などとの交友関係、妻・喜志子の歌を丹念に読み解きながら、生き生きと描かれていくロマン的な世界。

孤独な人間の深い影を踏みしめながら。

 

 


*目次より

 

第一部

Ⅰ 若山牧水と石川啄木

Ⅱ 啄木と牧水

Ⅲ 与謝野晶子と若山牧水

Ⅳ 区切れを考えるー信綱『思草』と牧水『別離』

Ⅴ 牧水における「古代的思考」

Ⅵ 牧水のわが愛誦歌

Ⅶ 若山牧水ー近代日本の杜甫・李白

Ⅷ 俵万智著『牧水の恋』を読む

Ⅸ 若山牧水をどう読み、考えるか

 

第二部

Ⅰ 若山喜志子の歌 上

Ⅱ 若山喜志子の歌 下

 

 

 


「短歌往来」2023年10月号

定価850円(税込)

 

◉巻頭作品

街の灯/福島泰樹

 

◉特別作品

言語的解釈/菊池裕

迷宮/川本千栄

 

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【特集】秋かぜ寒露

作品十首

山中律雄、江戸雪、三枝浩樹、塚田キヌエ、久保田登、中西敏子、池田はるみ、柴田典昭、佐藤孝子、桐谷文子、林和清、三枝むつみ、遠藤由季、

彦坂美喜子

 

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◉評論シリーズ21世紀の視座

短歌に詠われた植物/大谷雅彦

 

◉作品7首

佐藤通雅、小林幸子、伊勢方信、押切寛子、山本司、梶田順子、造酒廣秋、和田沙都子、西田郁人、伊志嶺節子、石田照子、内野信子

 

◉作品13首

千々和久幸、香川ヒサ、嵯峨直樹、梶原さい子、清水正人、鶴岡美代子、小関祐子、岡本育与、高原桐、大塚亜希

 

◉作品8首

今井正和、太田碧、内田弘、原田治子、柿本希久、小村井敏子、小林芳枝、伊藤純、鈴木隆夫、浅岡千枝子

 

◉新・自然を詠む・撮る・描く

荒川放水路歌物語/島ゆり

 

◉結社誌最新号

みぎわ/河野小百合

 

◉今月の視点

「女性」という括りの魅力/清水あかね

 

◉今月の新人

なつの花/しおせとくや

 

◆連載◆

島田修三、加藤治郎、田中教子、勝又浩、豊島秀範、水城春房、佐佐木朋子、恩田英明、青戸紫枝、持田綱一郎、福島泰樹

 

◉新刊歌集歌書評

藤岡武雄歌集『天空の夢』/林田恒浩

水原紫苑歌集『天國泥棒』/梅内美華子

岡本瑤子歌集『雨の韻律』/春日いづみ

真中朋久歌集『cineres』/寺島博子

佐波洋子歌集『種子のまつぶさ』/長澤ちづ

桜田一夫歌集『星の祈り』/田中徹尾

 

◉作品月評ー8月号より/崔ソハ

 

◉評論月評/中西翔馬

 

◉全国往来情報

 

◉編集後記

 

表紙画/大塚亜紀

本文カット/浅川洋

 

 


市川正子歌集『風越』

定価:2,750円(税込)

判型:四六判上製カバー装

頁数:208頁

ISBN978-4-86629-309-7

 

西に広がる関ヶ原、その彼方に伊吹山の聳える西濃の地。

農村の面影をとどめ、歴史にゆかりある地を拝啓にした日々が、一首一首リアルに刻まれる。きびしくも豊かな自然を見つめ、地域の老齢世代との人間的な交流を詠い、間歇泉の甦る亡き夫の追憶、教職時代の佳き思い出が噛みしめるように歌にとどめられる。とりわけ不穏に傾き始めた時代への恐れや批判の歌には強く訴えるものがあり、戦争で父を失った世代の切実な声として忘れがたい。

       帯文 島田修三

 

*・。*・。*・。*・。*・。*・。**・。*・。*・。*・。*・。*・。*

 

『風越』より5首

 

田起しにめくらるる田が息を吐きむわっむわっと春近づきぬ

 

選られざる厳粛があるスーパーの霜降り飛騨牛まだ値を下げず

 

空缶になって蹴られて転がってそのまま冬陽を浴びつづけたい

 

「あらざらむこの世」と書きて筆を上ぐ紙の余白に伸び来るひかり

 

暴力をかくはればれと流しゆく今朝のテレビは軍事パレード

 

びっしりと蟻が熟柿に群がれり蜜こそちから蜜こそいのち

 

 

 


大塚亜希歌集『くうそくぜしき』

定価:2,400円

判型:四六判並製カバー装

頁数:186頁

ISBN9784866293073

第二歌集。

 

何もない、役にも立たない。

空漠として、ただ寂寥とともに在る。

そんなものに心を震わせ、色を透過させる。

感動の変換、それが歌だ。比類なき魂の戦慄だ。

 

-∴-∵-∴-∵-∴-∵-∴-∵-∴-∵--∴-∵-∴-∵-∴-∵-∴-∵-∴-∵-

 

 

『くうそくぜしき』より五首

 

夕焼けの赤を怖がり泣いた日があった母さんの手を握りしめ

 

凍る日の雪のさらさら君のこと好きと何度も行ったさらさら

 

雨降れば空とつながる心地して約束のない日は濡れてゆく

 

ひざ抱けば裡から音の響く夜わたしはひとつの心臓である

 

はじまりは針孔に糸通すこと光に向かってゆく糸の先

 

 

-∴-∵-∴-∵-∴-∵-∴-∵-∴-∵--∴-∵-∴-∵-∴-∵-∴-∵-∴-∵-

 

 


橋田昌晴歌集『虹立つ』

定価:2,200円(税込)

判型:四六判上製カバー装

頁数:148頁

ISBN978-4-86629-311-0

第二歌集。

 

素材に対する独特の把握力、あたたかみを伴う笑いの要素、作中に生きる五感等々に裏打ちされた諸作は、一段と円熟味を増しており、どの作品においても橋田昌晴が紛れもなく息づいている。

本書において「虹」は大いなる意味を有する存在である。

ウクライナの橋上に、コロナ禍の空に、作者の心に、虹は鮮やかに架かっている。

 

                      ―――――野地安伯「解説」より

 

 

 

『虹立つ』より五首

 

遺言書を書き終えたりと告げたれば生きて欲しいと妻は涙す

 

パソコンのキーボード叩くまでもなく患者の病名が顔に出ており

 

メラノーマの手術終わりぬ南天に赤く明るく火星煌めく

 

向日葵の種子は多くの実を結び「復活」の日は遠からず来ん

 

長引けるコロナ禍の中雨あとの虹を見つけて告げに来る妻

 


「短歌往来」2023年9月号

850円(税込)

 

◉巻頭作品/大辻隆弘

 

◉特別作品

恩田英明/王紅花

 

◉評論シリーズ21世紀の視座

和歌と短歌の世界をつなぐ/吉田裕子

 

 

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【特集】全国歌碑めぐり

◆特集総論

大いなる遺産 歌碑/大熊俊夫

◆エッセイ

上野久雄歌碑/沢井照江

太田靑丘歌碑/木村雅子

大西民子歌碑/河村杳平

大野とくよ歌碑/白倉一民

岡野弘彦歌碑/川涯利雄

香川進歌碑/檜垣美保子

春日真木子歌碑/春日いづみ

河野裕子歌碑/吉川宏志

近藤芳美歌碑/杉田加代子

佐佐木幸綱歌碑/川夏晴夫

佐藤佐太郎歌碑/長田邦雄

竹山広歌碑/馬場昭徳

寺山修司歌碑/林昭雄

中城ふみ子歌碑/時田則雄

馬場あき子歌碑/古谷円

前川佐美雄歌碑/前川斎子

前登志夫歌碑/喜多弘樹

前田透歌碑/前田宏

光本恵子歌碑/貝沼正子

宮柊二歌碑/田宮朋子

山崎方代歌碑/藤島秀憲

 山中智恵子歌碑/加藤由かり

吉野秀雄歌碑/大下一真

若山牧水歌碑/中村佳文

 

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◉作品7首

大塚寅彦、碓田のぼる、綾部光芳、久我田鶴子、飛髙敬、小野雅子、菅原恵子、兵頭なぎさ、逸見悦子

 

◉作品13首

水門房子、玉井綾子、浅田隆博、二方久文、森川多佳子、梶間和歌、峰尾碧

 

◉結社誌最新号

鮒/根岸雅子

 

◉今月の視点/久々湊盈子

 

◉今月の新人/麻乃

 

◉連載

島田修三、加藤治郎、田中教子、勝又浩、豊島秀憲、水城春房、佐佐木朋子、青戸紫枝、持田綱一郎、福島泰樹、丹波真人

 

◉新刊歌手歌書評

坂本喜杏歌集『以和為貴』/間ルリ

三井ゆき歌集『水平線』/永井正子

秋山佐和子歌集『西方の樹』/沢口芙美

中西洋子著『流転の月 柳原白蓮ノート』/恒成美代子

 

◉作品月評/國清辰也

◉評論月評/小長井涼

 

◉全国往来情報

◉編集後記

 


谷岡亜紀著『歌人の肖像』

定価:1,650円(税込)

判型:A5判並製カバー装

頁数:224頁

ISBN978-4-86629-310-3

 

第17回歌人クラブ評論賞受賞歌人による、ベスト歌人論!

 

目次

  • 佐佐木信綱の<新しさ>
  • 信綱から佐美雄へ
  • 斎藤茂吉の映像性
  • 短歌における<近代>ー斎藤茂吉を例に
  • 生まれた場所を遠く離れてー牧水の旅、私の旅
  • 山谷のドヤで牧水の旅を考える
  • 酒の歌 牧水・勇・幸綱
  • 吉井勇再発見
  • 劇的釋迢空論
  • 山崎方代の世界
  • 昭和史の巨人・下村海南
  • メトードの後に―塚本邦雄の方法
  • 戦後派・岡井隆
  • <マドモアゼルM>の肖像+築地雅子の30首
  • 野の花の矜持 追悼・石川不二子
  • 帆のごとく過去をぞ張りて 佐佐木幸綱歌集『反歌』
  • 月の言葉、人の言葉 伊藤一彦歌集『月語抄』
  • 永田和宏の風景ー歌集の中の時間
  • 人生に傾く 三枝昻之歌集『遅速あり』
  • 科学と風土 坂井修一歌集『群青層』
  • 俵万智のエッセイー<いま>の横顔
  • 大口玲子論ーわれ、世界、言葉
  • 歌人点描 岩田正 橋本喜典 米川千嘉子 川野里子 小島ゆかり 佐佐木定綱 木ノ下葉子

 

 


岡貴子歌集『火の橋慕情』

定価:2,530円(税込)

判型:A5判上製カバー装

頁数:136頁

ISBN978-4-86629-305-9

 

 

 

 

 

老いの孤独を軽やかに・・・・

 

 

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わが家のすぐ近くにある橋が「火の橋」です。なんの変哲もないちっぽけな橋ですが、駅からの帰途はこの橋をかならず渡らなければなりません。足音が白子川の川面に反響してこつこつと聞こえます。あの世から亡夫が帰って来る足音が、夜ごと夜ごとに聞こえるのです。

 

ーーー「火の橋慕情」本文より

 

 

 

 

 


黒岩剛仁歌集全三冊

定価:2,200円(税込)

判型:四六判並製カバー装

頁数:258頁

ISBN978-4-86629-303-5

若山牧水賞を受賞した歌集『野球小僧』を含む、既刊3歌集を収録。

 

『天機』

『トリアージ』

『野球小僧』

 

 

◆引用6首◆

 

公園で夜の電話をかけおれば今きわやかに一本の恋 

 

 

タッチアップなど分かっているのか神宮で原を観ている君のまばたき

 

      デーモン

<大門>が<悪魔>に聞こえる夏の朝女性車掌のうら若き声

 

 

この先十年わがミッションは如何なるや時計の電池替えつつ思う

 

 

生涯初のカーブを父に投げ込みし野球場には芝生なかりき

 

 

家系図の終点として吾はおり今年も咲けるソメイヨシノは

 

 

 


「短歌往来」2023年8月号

850円(税込)

 

◉巻頭作品21首/古谷智子

 

◉特別作品33首/丹波真人、上村典子

 

◉評論シリーズ21世紀の視座/江畑實

 

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【特集】乗りもののうた

◆乗り物の歌総論/高山邦男

◆乗りものの歌50首抄/真中朋久

◆エッセイ/秋葉四郎、永田紅、大塚寅彦、岩内敏行

◆作品+エッセイ

三枝浩樹、時田則雄、前川斎子、村上和子、松岡秀明、渡辺雪子、田中徹尾、杜崎ひらく、竹内亮、玉城入野、宮本背水、佐藤博之、岩内敏行、伊勢屋貴史

〇〇◆◆◆〇〇◆◆◆〇〇◆◆◆〇〇◆◆◆〇〇◆◆◆〇〇◆◆◆〇〇◆◆◆〇〇◆◆

 

◉作品7首

古屋正作、田野陽、結城文、上田明、三友さよ子、綾部光芳、坂本朝子、運天政徳、正井姈、江副壬曳子

 

◉作品13首

窪田司郎、萩岡良博、なみの亜子、染野太朗、三原由起子、冨樫榮太郎、三枝むつみ、廣庭由利子、長谷川と茂古、江田浩司、大森悦子、加古陽、児島直美

 

◉作品8首

森川和代、片岡直子、三平忠宏、武田素晴、田名網順子、青木泰子、柊明日香、後藤秀彦

 

◉新・自然を詠む・撮る・描く

玉城洋子

 

◉結社誌最新号

原始林/大朝暁子

 

◉今月の視点

寺島博子

 

◉今月の新人

吉川美穂子

 

◉連載

島田修三、加藤治郎、田中教子、勝又浩、水城春房、佐佐木朋子、恩田英明、青戸紫枝

 

◉書評

大塚寅彦歌集『ハビタブルゾーン』/魚村晋太郎

萩岡良博歌集『漆伝説』/小黒世茂

吉川宏志歌集『雪の偶然』/大辻隆弘

水野昌雄歌集『冬の星座』/小石雅夫

島ゆり歌集『サロベツ原野』/光本恵子

玉城洋子歌集『櫛笥ー母ー』/小木宏

 

◉作品月評/國清辰也

◉評論月評/小長井涼

 

◉全国往来情報

◉編集後記

 

 

 

 

 


米山髙仁歌集『令和』

定価:2,750円(税込)

判型:四六判上製カバー装

頁数:194頁

ISBN978-4-86629-296-0

たましいの歌集。

 

騰々として、この命。

天のまことに委ねる。

憂國、草莽の土として。

会津の地にあって 歌を詠み継ぐ。

歌とは志であった。

 

 

 

 

『令和』より五首

 

我が庭の開きし梅に淡雪の降りつぐ朝や令和二日目

 

現代は政治家よりも政治屋がひしめく乃木精神よみがへれ

 

久々に若きをみなと相合傘初夏の雨の粹なはからひ

 

風もなく觸りし人もなきはずに音立て崩る本の山々

 

散り際を知りて散るのかもみぢ葉は風もなきまま音もなきまま

 

冬枯れし木々の細枝見るにつけ若き細かりし妻思ひ出づ

 

 


松森邦昭歌集『しゃれこうべの歌』

定価:2,350円(税込)

判型:四六判上製カバー装

頁数:146頁

ISBN978-4-86629-297-7

脳神経外科医師の第三歌集。

 

しゃれこうべ―――。

どこか異様で、

もの悲しく、

どこか陽気で、

笑っているように

見える。

定型という器も

言葉を剥がして

しまえば同じこと。

さて、歌の行く先は

この世か、あの世か、

それとも?

 

 

『しゃれこうべの歌』より五首

 

どくろの眼 深い奥には穴のあり花も見ていた星もみていた

 

地球史の四六億年今日も暮れ昨日みた月またのぼりきし

 

わが棺をつつむ火群の静かなり焼けゆく身柄を我が見つめる

 

我が意思のおよばぬ言葉「さような」一人つぶやくむなしきままに

 

春立つ日望月やわく野に照りて木の芽花の芽こころ急かせる

 

 


丸山順司歌集『鬼との宴』

定価:2,750円(税込)

判型:四六判上製カバー装

頁数:192頁

ISBN978-4-86629-301-1

こころの裡なる鬼どもが騒ぎ始める

悲哀とユーモアをたっぷりと孕みながら日常がどんどんと浄化されていく不思議

作者の世界と覗いているものはいかなる鬼か

 

 

 

『鬼との宴』5首

 

ぶらさがるものはぶらんこ揺れもせずしんとだらりとさがりて真昼

 

真実の口へ右手を差し入れて手紙落としぬ手は無事なりき

 

 

ベランダの椅子に座れば見ゆるもの空しか無くて空を見てゐる

 

動くのを忘れて眠る丸むしをそつとつついて転がしてやる

 

このままでよいかと問はれそのままでよいと答へぬ あんぱん一つ

 

 

 


桜田一夫歌集『星の祈り』

定価:2,200円(税込)

判型:四六判並製カバー装

頁数:144頁

ISBN978-4-86629-304-2

 

渇きたる心を満たすスイーツを探し求めて旅をつづけむ

 

短歌を作ることは物事を正確に多角的に見る目が養われます。

題材も様々なことを選ぶことができます。

短歌は心と体のバランスを取ってくれます。

短歌によってこれまでとは違う経験をさせてもらいました。

「あとがき」より

 

 

『星の祈り』より五首

 

車椅子駆りてボールを打ち返しテニスコートに風を起こせり

 

記憶にはなきことなれど真夏の日玉音放送必ず聞きし

 

街道に並びて立てる杉の木も行く人もみな風景である

 

夕暮れの家の灯かげの点々と線をなしつつ町にひろがる

 

黒々と間隔取りて電線につばめの群れいる旅立ちの朝

 

 

 


布々岐敬子歌集『野に還りゆく』

定価:2,750円(税込)

判型:四六判上製カバー装

頁数:210頁

ISBN978-4-86629-302-8

 

この歌集は本人の知らないところで、人生の締め括りをつけるように、出されることになりました。最後の詰めが出来ないことは残念でしょうが、一方では<そんなことは構わない>と、笑飛ばしているような気もします。

            高見澤紀子(布々岐敬子 姉)「あとがき」より

 

 

 

 

『野に還りゆく』より5首

 

リストラをされないだけで幸福という幸福論 右肩下がり

 

桑の木の見分けもつかず桑畑は打ち捨てられて野(や)に還りゆく

 

ゆるゆると日の落ちてゆくこの夕べ異邦人には寂し過ぎぬか

 

物置の屋根に山栗ひとつ落つ ゆきたい処へ行けという声

 

気がかりの消えぬ真昼間雲も無くおのがじしなり山茶花の白

 

 

 

 

 


岡本瑤子歌集『雨の韻律』

定価:2,750円(税込)

判型:四六判上製カバー装

頁数:218頁

ISBN978-4-86629-299-1

 

第三歌集。

 

雨の音を聴く。

ひそかに、そしてリズミカルに。

それは生死の韻律、一世界をめぐる心の有り様。

おだやかに過ぎていく日常がゆたかなしらべを奏でる。

 

 

 

 

『雨の韻律』より5首

 

つましくも凛とあるべし白梅を眺めし母の静かなこゑ

 

病み上がりを化粧(けはひ)に隠し人の中集ひ笑みたる私に疲る

 

露あつめ墨摺り書きし短冊の思ひ出ゆれてわが星祭り

 

さり気なく父に寄り添ふ壮の子の阿蘇のふところ草千里ゆく

 

いつしらに「学生街の喫茶店」口遊みをりシャッター通り

 


「短歌往来」2023年7月号 

表紙写真:石川幸雄

850円(税込)

 

◉巻頭作品/松平盟子

 

◉特別作品33首

田村広志、喜多弘樹

 

◉評論21世紀の視座

牧水の鳥の歌/中村佳文

 

 

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【特集】鳥類のうた

◇エッセイ

野鳥と短歌/石川幸雄

 

◇作品十首+エッセイ

今野寿美、山田富士郎、東直子、外塚喬、永田淳、真中朋久、大井学、高木佳子、

齋藤芳生、よしおかえり、久永草太、立花開、小原奈美、千原こはぎ、爲永憲司、

星野さいくる

 

 

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◉作品7首

武田弘之、村山美恵子、疋田和男、温井松代、中根誠、前田康子、平山公一、村島典子、村松清風

 

◉作品13首

木村雅子、三井修、黒岩剛仁、橋本千惠子、村山伀、藤室苑子

 

◉作品8首

井口世津子、松本高直、長谷川紫穂、岡貴子、岡田延子、安西百合子、森みずえ、小木宏、前田宏、新房富子

 

◉新・自然を詠む・撮る・描く

加賀を出て再び加賀へ/永井正子

 

◉結社の顔

開耶/森本平

 

◉今月の視点/恒成美代子

 

◉今月の新人/橘春

 

◉新刊歌集歌書評

日高堯子歌集『小さい葛籠』/佐伯裕子

永田紅歌集『いま二センチ』/齋藤芳生

児島直美歌集『春の引出し』/乃上あつこ

水門房子歌集『ホロヘハトニイ』/大西久美子

佐藤恵美子歌集『野の鳥と共に』/加藤英彦

武藤雅治歌集『異形の良寛』/菊池威雄

 

◉連載

島田修三、加藤治郎、田中教子、勝又浩、豊島秀範、水城春房、佐佐木朋子、恩田英明、青戸紫枝、持田綱一郎、福島泰樹、丹波真人

 

◉作品月評/五月号よりー國清辰也

◉評論月評/小長井涼

 

◉全国往来情報

◉編集後記

 


玉井まり衣歌集『しろのせいぶつ』

定価:2,200円(税込)

判型:四六判並製カバー装

頁数:120頁

ISBN978-4-86629-298-4

 

「静物」と言ふ名のうつはをじつとみるほんとうにさうかうたがつてゐる

 

 

この歌集の歌達は、妙にたどたどしく、妙に歪んていて、そのくに妙にシンプルで澄んでいる。

それは、対象であれ、それに投影される自分であれ、謎は謎として受け入れようとする著者の誠実さによる。-----森本平「解説」より

 

 

 

『しろのせいぶつ』より五首

 

プラスチックの光がキレイと君は言ふ 背骨は少し傾けてゐる

 

しづかなるガラスの向かふに置かれてる歪な壺にさはれない指

 

眼の前を二本の素足が歩いてく ひざの裏から春の産む少女

 

手や足やその他の私を撮つてゐるアルバムに撮影者はいない

 

凍る夜にマスクのあなた話してる喉は抉れた顔の続きだ

 

 


「短歌往来」2023年6月号

850円(税込)

 

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【特集】

第21回前川佐美雄賞

第31回ながらみ書房出版賞

 

受賞の言葉

水原紫苑

糸川雅子

 

前川佐美雄賞受賞作

『快樂』50首抄

 

ながらみ書房出版賞受賞作

『ひかりの伽藍』25首抄

 

選考を終えて

島田修三、松村由利子、本田一弘、井坂洋子

 

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◉作品7首

横山岩男、外塚喬、井辻朱美、石井利明、藤田冴、當間實光、今川美幸、脇中範生、草田照子、水本光

 

◉作品13首

秋山佐和子、高山邦男、反田たか子、長谷川富市、南鏡子、岩内敏行、石川浩子、中西翔馬、畑彩子、柳澤美晴、大塚亜希、三輪良子

 

◉作品8首

井野佐登、青木春枝、くぼたかずこ、川上三郎、石井幸子、永井秀幸、渡辺けい子、松森邦昭、秋葉静枝、野上洋子

 

◉新・自然を詠む・撮る・描く

フラワーパークガーデンパーク/柴田典昭

 

◉結社の顔

彩雲/田中伸治

 

◉追悼ー大野とくよ/白倉一民

 

◉連載

島田修三、加藤治郎、田中教子、勝又浩、豊島秀範、水城春房、佐佐木朋子、恩田英明、青戸紫枝、持田綱一郎、福島泰樹、丹波真人

 

◉今月の視点/林和清

 

◉今月の新人/武藤裕美

 

◉新刊歌集歌書

水原紫苑歌集『快樂』/横山未来子

三枝昻之著『夏は来ぬ』/奥田亡羊

春日いづみ著『シネマ交響曲』/沢口芙美

島崎榮一歌集『白露』/三井修

藤島秀憲著『山崎方代の百首』/阿木津英

高原桐歌集『春の岬の晴れた日に』/武富純一

白井美沙子歌集『クロッカスの庭』/佐藤通雅

永田淳歌集『光の鱗』/田村元

 

◉作品月評ー四月号より/國清辰也

◉評論月評/小長井涼

 

◉全国往来情報

◉編集後記

 

 


水門房子歌集『ホロヘハトニイ』

定価:2,750円(税込)

判型:四六判並製カバー装

頁数:232頁

ISBN978-4-86629-293-9

このあいだ君の子供を見かけたよ

     机の上のクモ

      横に飛ぶ

 

藤田武は「もっと自由に大胆に飛べ」と諭したという。師の言葉に、忠実であろうとする弟子水門房子。

かくも美しく古風な師弟関係が、旧来の「短歌とはこういうものだ」という固定観念を打ち破る歌集『ホロヘハトニイ』となった---------石川幸雄「解説」より

 

                      

 

 

藍色の空に浮かんだグラデーション

     宵の明星

     三日月の月

 

おひさまが昇る頃には日常の生活のなか

       あなたも

       わたしも

 

かあさまがワッフル焼いて

    誕生会

ストローで飲むリボンシトロン

 

あの人が四回異動するうちに

  わたしは何をしてたか

      五年

 

 

 

 

 

 


短歌往来2023年5月号

定価850円(税込)

 

▶巻頭作品/米川千嘉子

 

▶特別作品/谷岡亜紀、江戸 雪

 

▶評論シリーズ21世紀の視座

佐佐木信綱の心に吹く自由な風/大西久美子

 

【特集】私の愛誦する歌(戦後~現代)

作品十首+エッセイ

栗木京子、雁部貞夫、日高堯子、大塚寅彦、大辻隆弘、都築直子、奥村晃作、久我田鶴子、鵜飼康東、後藤由紀恵、駒田晶子、糸川雅子、魚村晋太郎、大崎瀬津

 

▶作品7首

玉井清弘、香川ヒサ、御供平佶、平林静代、足立晶子、松村正直、玉城寛子、源陽子、佐波洋子、矢澤靖江、江畑實、池原初子

 

▶作品13首

名嘉真恵美子、山下翔、いずみ司、末安美保子、島晃子、福原美江、松井純代

 

▶作品8首

鈴木利一、久保とし子、楠田智佐美、田名網順子、佐野豊子、田中伸治、高橋愁、内藤賢司

 

▶新・自然を詠む・撮る・描く

山本枝里子

 

▶結社の顔

りとむ/今野寿美

 

▶追悼

篠弘/柴田典昭

来嶋靖生/外塚喬

山村泰彦/光本恵子

十鳥敏夫/喜多弘樹

 

▶今月の視点/牛山ゆう子

 

▶今月の新人/紙屋みゆ

 

▶連載

島田修三、加藤治郎、田中教子、勝又浩、豊島秀範、水城春房、佐佐木朋子、恩田英明、青戸紫枝、持田綱一郎、丹波真人

 

▶作品月評/國清辰也

 

▶評論月評/小長井涼

 

▶全国往来情報

 

▶表紙作品/高山ケンタ

 

▶本文カット/浅川洋

 

 


白井美沙子歌集『クロッカスの庭』

第二歌集。

 

いつせいに黄のクロッカス花開きははなき実家(さと)の庭に春来る

 

黄色いクロッカスの花が咲き始めている。

誰もいないこの家の庭に春が来た。

その静かな華やぎの中に歌のしらべが自然と寄り添う。

いのちのほんとうの形を思い起こせとばかりに、やさいく。

 

いのちに向き合うやさしさに満ちた第二歌集

 

 

 

 

本箱のうしろのすき間に落ちし額もう永久に会へぬ気がする

 

きさらぎのバケツに張りし薄氷をすくひて母のてのひらにのす

 

雲の上(へ)にくつきり映るふらここの影がゆるるよ誰もをらぬに

 

母逝きて空家となりし実家(さと)なれど郵便受けに夕日来てゐる

 

ひば伐れば椿の木にも陽のとどきうす桃色の花の咲きつぐ

 

 

 

 

 


「短歌往来」2023年4月号

850円(税込)

 

◉巻頭作品21首

森山晴美

 

◉特別作品33首

 

黒瀬珂瀾、糸川雅子

 

【特集】

花降り注ぐ春のうた

◉エッセイ

その花の品種は何か/森垣岳

【近代】歌を口ずさむ/桜川冴子

◉作品十首+エッセイ

都築直子、久保田登、遠山利子、小笠原和幸、安藤直彦、中野たみ子、丸山三枝子、若菜邦彦、田中律子、大熊俊夫、小林信也、斎藤千代、竹内由枝、清水春美、花山周子、石川幸雄、松浦彩美、鷺沼あかね

 

 

 

 

◉作品7首

藤岡武雄、内藤明、平山良明、野地安伯、小野雅子、浜田康敬、中村キネ、坪内稔典、伊志嶺節子、冬道麻子

 

◉作品8首

木村よし子、梅本武義、小鳥沢雪江、川﨑勝信、宮下俊博、渡邊忠子、宮本清、先川咲容、大塚健、奥村秀子、甲村雅俊

 

◉新・自然を詠む・撮る・描く

古谷円

 

◉評論シリーズ21世紀の視座

創世神話「塚本邦雄」初期歌集の精神風景⑰/江畑實

 

 

 

◉連載

島田修三、加藤治郎、田中教子、勝又浩、豊島秀範、水城春房、佐佐木朋子、恩田英明、青戸紫枝、持田綱一郎、福島泰樹、丹波真人

 

◉今月の視点

下村すみよ

 

◉今月の新人

宮原はな

 

◉書評

福島泰樹歌集『百四十字、老いらくの歌』/岩内敏行

松村由利子著『ジャーナリスト与謝野晶子』/松平盟子

藤田冴歌集『梧桐』/桂保子

中島裕介歌集『memorabilia/drift』/田中拓也

中島裕介歌集『polylyricism』/堀田季可

名嘉真恵美子歌集『別れと知らず』/佐野豊子

西真行歌集『<結石>を神と言おうか』/大引幾子

桜田一夫歌集『インターナショナル』/佐佐木頼綱

 

◉作品月評(二月号より)

國清辰也

 

◉評論月評

小長井涼

 

◉全国往来情報

 

表新作品/高山ケンタ

本文カット/浅川洋

 

 


児島直美歌集『春の引出し』

定価:2,750円(税込)

判型:四六判上製カバー装

頁数:184頁

ISBN978-4-86629-291-5

いちめんのなのはななのはな渾身で古墳の春を抱きしめている

 

 

児島直美さんは春の歌人である。

書名も『「春の」引出し』だ。

言うまでもなく、長く厳しい冬をのりこえて迎えるのが春である。

巻頭歌のこの春の一首、古墳の丘のゐ一面の菜の花を明るく喜びにあふれたリズムで歌っている。

 

「春の古墳」でなく「古墳の春」であり、抱きしめているのは春という大きな季節であるのがすごい。

「渾身」は「今身」と掛けているのだろう。

児島さんは菜の花と同体になって、春を抱きしめている。

そのしなやかさに一切を抱きしめる力が歌集一巻をつらぬいている。                    ーーーーーーーーーーーーー伊藤一彦 帯文より

 

 

 

 

空の青胸いっぱいに吸い込めばわたしに春の呼吸が満ちる

 

風光る坂をましろきシャツの群れ駆けぬけてゆく四月の明度

 

印刷室の朝はみずうみ水鳥が飛びたつように文字は生まれて

 

出席簿に斜線の続く行ありてきらきらネームの姫は目覚めず

 

ギリシャ神話の神の名のごと「イレウス」が母のカルテに記されし朝

 

 

 

 

 


岡田延子歌集『七曜星』

定価:2,640円(税込)

判型:四六判上製カバー装

頁数:164頁

ISBN978-4-86629-287-8

 

第一歌集

 

小題をつけられた作品の集まりごとに、明確な題材、テーマが打ち出されている。

連作を単位としたテーマ性という考え方を強く打ち出したのが、昭和三十年代に始まるいわゆる「現代短歌運動」だが、この歌集もその意味で、まぎれもなく「現代短歌」の一巻である。

谷岡亜紀「解説」より

 

『七曜星』は、北斗七星の別名です。

北極星を探す指針となり、目的の地を目指す旅人を、無明より導く星です。輝く七つの星に安寧なる未来を、と願いを込めて歌集を『七曜星』と決めました。

著者 「あとがき」 より

 

『七曜星』より5首

 

歯科医院の壁にビュッフェの版画あり海空暗く人影の無く

 

巨大なる風車回りて海岸の四度目の夏ゆっくりと過ぐ

 

この世には悲しみの歌数多(あまた)有りて大地の民は泣きながら歌う

 

おぼろげな記憶の中を歩み行く托鉢の僧大寒の辻

 

生き生きて行き着く先に花野あり夢の終わりの百合の群生

 


「短歌往来」2023年3月号

850円(税込)

 

◉巻頭作品21首

阿木津英

 

◉特別作品33首

青木陽子

本阿弥秀雄

 

 

【特集】

アンケート 2022年のベスト歌集・歌書

①2022年に刊行された優れた歌集歌書を3冊あげ、それぞれの歌集からは秀歌をひいてください。

②歌集歌書、あるいは2022年の収穫について自由にコメントしてください。

▷回答者

菅原恵子、桑原正紀、生沼義朗、安田純生、久我田鶴子、大辻隆弘、高木佳子、林三重子、喜多弘樹、小林幸子、千々和久幸、利根川発、浜口美知子、柴田典昭、沢井照江、御供平佶、五十嵐順子、寺尾登志子、林田恒浩、小黒世茂、古谷智子、清水あかね、加藤英彦

 

◉作品7首

萩岡良博、楠田立身、久々湊盈子、横山季由、秋元千恵子、中西健治、苅谷君代、山野吾郎、鷲尾三枝子

 

◉作品13首

荻本清子、島田幸典、美帆シボ、岩崎聰之介、鈴木英子、田中章義、吉濱みち子、城俊行、鶴岡美代子、吉野節子、森川多佳子

 

◉作品8首

楜澤丈二、中西洋祐、大木恵理子、山脇志津、桜田一夫、伊藤智子、白倉一民、前田えみ子、椎木英輔、大北敏子

 

◉連載ー結社の顔

朔日/外塚喬

 

◉新・自然を詠む・撮る・描く

わが庭の富士山/大下一真

 

●追悼ー永田典子

「日月」を背負って/渡辺恵子

 

◆連載◆

勝又浩、豊島秀範、水城春房、佐佐木朋子、恩田英明、青戸紫枝、持田綱一郎、福島泰樹、丹波真人

 

◉今月の視点ー秋山佐和子

 

◉今月の新人ー伊勢屋貴史

 

◉新刊歌集歌書評

高橋睦郎歌集『狂はば如何に』/佐々木幹郎

渡邊忠子歌集『風のこもりうた』/三枝浩樹

綾部光芳歌集『青熒』/王紅花

栗明純生『はるかな日々』/中川佐和子

島田修三著『昭和遠近』/小塩卓哉

中川佐和子歌集『夏の天球儀』/松平盟子

松浦彩美歌集『タイムレター』/富田睦子

山田航歌集『寂しさでしか殺せない最強のうさぎ』/花山周子

磯田ひさ子歌集『ヒヤシンス』/木村雅子

 

◉作品月評/本条恵

◉評論月評/武富純市

 

◉全国往来情報

◉編集後記

 

◉表紙作品/高山ケンタ

◉本文カット/浅川洋

 

 

 

 

 


高原桐歌集『春の岬の晴れた日に』

定価:2750円

判型:四六判上製カバー装

頁数:216頁

ISBN978-4-86629-288-5

 

第二歌集!

 

能登の海山の春はことに光に満ち溢れる。水仙の花がどこかで聴き耳をたてている。

淡く、豊かに、時として苛烈に、そしてやさしく。相聞のしらべを底流にしつつ、清新な詩ごころを保つ。産声をあげるはずたった日からの長い歳月。それは熟成というまぼろしの時間。「全てに時がある」といわれうように不可欠な大切な流れであった。

 

 

 

『春の岬の晴れた日に』より五首

 

ふるさとを初めて出ずる少女われを見送りくれし駅の水仙花(すいせん)

 

走り根の根方に寄りぬ花蕊(はなしべ)にあかあかと入日しばしとどまる

 

逢うときは蝶のごとくに語らいぬ空と野原を想い描きて

 

財なすは得手ならざれば慎ましき暮しに大根美しく煮る

 

海遠く渡り来たる強き風夕べいつしか消えてゆきたり

 

 


藤田冴歌集『梧桐』

定価:2,640円(税込)

判型:四六判上製カバー装

頁数:172頁

ISBN978-4-86629-286-1

 

第五歌集!

 

どこか遠くを見つめている。

その眼の輝き、その鼓動、たしかな命の華やぎ。

ひとときの挫折は高みを飛翔するための言葉の翼。

淡い恋情が薄紅の霞のようにしらべに纏わりつきながら。

 

 

 

『梧桐』より五首

 

吾ら子に戦(そよ)ぎし母は日本語がうつくしかりし頃の梧桐(あおぎり)

 

広大な地平の秘めゐる愛だらうどこまでもビート、どこにでもビート

 

そのかみは貝がらなりし吾らかもさざ波のやうにメール交はして

 

マンゴーの楕円の縁(へり)を剝きながら思ふ子午線の上の虚空を

 

迷ひつつ彼岸へ向かふその時もかたみに思ふ人のあれかし

 

 

 

 


「短歌往来」2023年2月号

850円(税込)

 

【特集】オメデトウ 卯年生れの歌人

桜井健司、野口世津子、小林良子、喜多昭夫、高島清子、関谷啓子、大建雄志郎、吉岡生夫、池本一郎、河野小百合、川田茂、吉田惠子、平石眞理、狩野一男、倉石理恵、豊岡裕一郎、窪川美代子、永田紅、小田原漂情、久保富紀子、小林敬枝、岩井久美子、石井幸子、林あまり、塚田キヌエ、後藤恵市、幸野稔、後藤由紀恵、遠山景一、角広子、武藤雅治、中沢玉恵、間佐紀子、森屋めぐみ、浜名理香、松野広美、三留ひと美、岩下静香、文屋亮、髙木絢子

 

 

◉巻頭作品/笹公人

 

◉特別作品/野口あや子、生沼義朗

 

◉評論シリーズ21世紀の視座

創世神話「塚本邦雄」初期歌集の精神風景⑯/江畑實

 

◉結社の顔/新アララギ(雁部貞夫)

 

◉新・自然を詠む・撮る・描く/貝沼正子

 

◉今月の視点/大田美和

 

◉今月の新人/小柳とかげ

 

◆連載◆

勝又浩、豊島秀範、水城春房、佐佐木朋子、恩田英明、青戸紫枝、持田綱一郎、福島泰樹、丹波真人

 

◆書評◆

栗木京子歌集『新しき過去』/梅内美華子

春日いづみ歌集『地球見』/沢口芙美

山中律雄歌集『淡黄』/千々和久幸

荻本清子歌集『冬蝶記』/三井修

今井恵子歌集『運ぶ眼、運ばれる眼』/梅原ひろみ

小塩卓哉歌集『たてがみ』/黒岩剛仁

荻原裕幸歌集『永遠よりも少し短い日常』

加藤治郎歌集『海辺のローラーコースター』/川野里子

尾崎まゆみ歌集『ゴダールの悪夢』/中津昌子

城俊行歌集『白の伝説』/五十嵐順子

山脇志津歌集『笹舟』/田村広志

大木恵理子歌集『コンパスを振る』/横山季由

下村光男遺歌集『海山』/中川昭

 

◉作品月評/本条恵

◉評論月評/武富純一

 

◆表紙作品/高山ケンタ

◆本文カット/浅川洋

 

 

 


「短歌往来」2023年1月号

定価850円(税込)

 

【特集】

期待される新人のうた

上條素山、奥村知世、柾木遙一郎、吉川美月、小島涼我、桜 望子、ファブリ、加賀塔子、貝澤駿一、七海ゆき、御手洗靖大、ゴウヒデキ

 

◉巻頭作品/坂井修一

 

◉特別作品/本田一弘、大森静佳

 

◉作品7首

高野公彦、伊藤一彦、辰巳泰子、松田愼也、上村典子、安田純生、高尾文子、石田照子、小島熱子

 

◉作品8首

小泉桄代、今枝敬昌、梅本武義、角広子、依光ゆかり、多田陽美、熊谷富雄、長岡弘子、柿内光彦、竹内彩子

 

◉作品13首

上野僚介、鵜飼康東、竹安隆代、小塩卓哉、長澤ちづ、桑原正紀、千家統子、宮原勉、間ルリ、島ゆり、細溝洋子

 

◉連載ー結社の顔

短歌人/宇田川寛之

 

◉新・自然を詠む撮る描く/三友さよ子

 

◉連載

勝又浩、豊島秀範、水城春房、佐佐木朋子、恩田英明、青戸紫枝、持田綱一郎、福島泰樹、丹波真人

 

◉今月の視点/内野光子

 

◉今月の新人/江上陽菜

 

◉書評

小林峯夫歌集『途上』/栗木京子

伊藤一彦歌集『言霊の風』/三枝浩樹

小池光歌集『サーベルと燕』/黒瀬珂瀾

田村広志歌集『捜しています』/久我田鶴子

糸川雅子歌集『ひかりの伽藍』/古谷智子

結城千賀子歌集『雨を聴く』/長澤ちづ

前田康子歌集『おかえり、いってらっしゃい』/林和清

大地たかこ歌集『薔薇の芽いくつ』/依田仁美

 

◉作品月評/本条恵

◉評論月評/武富純一

 

◉表紙作品/高山ケンタ

◉本文カット/浅川洋

 


西真行歌集『<結石>を神と言おうか』

定価:2,640円

判型:四六判上製カバー装

頁数:148頁

ISBN978-4-86629-283-0

 

第一歌集!

 

二ヶ月間におよぶ左尿管結石の闘病の記録である。

作者はうたを詠うことによって生きていられたのかもしれない。

 

ひとりで病院や家のベッドに臥しながら、

身体から漏れる言葉。

誰にも聞こえない声。

 

それらを短歌の定型におさめることで自らを支えていたのではないか。

 

江戸雪 解説より

 

 

 

 

寝るために耐える力の必要で大地の重さに身体あずける

 

結石を神と言おうか憤怒せる 肉体通しこころ試さば

 

澱みにて住む魚たちは清流に住みたる魚をうらみておるや

 

何もない青い空のみ写したり決意といってもなにも浮かばぬ

 

結局は石神さまは言っている頼らず生きよ自分で生きよ

 

 

 


名嘉真恵美子歌集『別れと知らず』

定価:2,200円(税込)

判型:四六判並製カバー装

頁数:196頁

ISBN978-4-86629-285-4

 

第三歌集!

 

沖縄をうたう。ふるさとをうたう。

 

戦争と抑圧の歴史はこの島の風土に加わってたえず何事か問いかけてくる。

その問いがしなやかな言葉と思索をもたらし、明日の光を導くことを痛切に願っている。

 

 

 

 

 

「世を捨てよ身を捨つるより」祖父の言葉思ひてゐたり豚煮詰めつつ

 

心かろく死に遠き日々蒼天にひとの生の緒ふはふはとせむ

 

日の丸を燃やす意味さへ朧にして復帰反対デモに連なりき

 

沖縄の百年の鬱土地狩りのはじまりの記憶にいきる人たち

 

アボカドの種すべりゆくするすると掴み損ふ たぶん自分を

 

 

 

 

 


「短歌往来」2022年12月号

850円(税込)

 

【特集】題詠による詩歌句の試み20

~風土を詠う~

城戸朱理、谷岡亜紀、長谷川櫂、井坂洋子、島崎榮一、黒田杏子、和合亮一、佐伯裕子、中原道夫、竹田朔歩、時田則雄、山西雅子、池井昌樹、大西久美子、山尾玉藻

 

◎巻頭作品21首

永田和宏

◎特別作品33首

中根誠、小黒世茂

 

◎評論21世紀の視座

創世神話「塚本邦雄」初期歌集の精神風景/江畑實

 

◎作品7首

御供平佶、温井松代、古屋清、下村道子、松川洋子、高旨清美、大山敏夫、加藤ミユキ、三本松幸紀

 

◎作品8首

木戸敬、鈴木通子、石川幸雄、高橋美香子、内田弘、下村すみよ、島内美代、青木泰子、秋元美津枝、前田えみ子

 

◎作品13首

志垣澄幸、梶田順子、熊谷龍子、造酒廣秋、平山公一、岡本瑤子、田土成彦、峰尾碧

 

◎結社の顔

ポトナムー中西健治

 

◎新・自然を詠む・撮る・描く

大磯海岸/柳宣宏

 

◎今月の視点

川本千栄

 

◎今月の新人

新棚のい

 

◎書評

魚村晋太郎歌集『銀耳』/田中拓也

笹公人歌集『終楽章』/狩峰隆希

三友さよ子歌集『ことの葉にのせ』/森山晴美

熊谷富雄歌集『曲り家』/久々湊盈子

柾木遙一郎歌集『炭化結晶』/石川美南

佐田公子歌集『天楽』/春日いづみ

三原由起子歌集『土地に呼ばれる』/田村元

藤原龍一郎歌集『抒情が目にしみる』/中西亮太

 

◎連載

島田修三、加藤治郎、田中教子、勝又浩、豊島秀範、佐佐木朋子、水城春房、恩田英明、青戸紫枝、持田綱一郎、福島泰樹、丹波真人

 

◎作品月評・本条恵

 

◎評論月評・武富純一

 

表紙作品・浅本竜二

本文カット・浅川 洋

 

 

 


渡邊忠子歌集『風のこもりうた』

定価:2,860円(税込)

判型:A5判上製カバー装

頁数:238頁

ISBN978-4-86629-284-7

 

第一歌集。

 

あやまたず生きよと赤きはまなしの実の一粒が宙(そら)をみてゐる

 

あやまたずに生きようとすれば人は苦しむ。

苦しみをありのままに受容した時、あらたま子頃の自在が生まれる。

はまなしの赤い実の一粒、その佇まいから励ましの声を聞きとめる作者。生きることの真実を求めてやまない歌人の澄んだ眼差しに詠まれた536首。

 

 

 

『風のこもりうた』より五首

 

芍薬の花のくれなゐ瓶に活け部屋に充ちくる寿(ほ)ぎごと佳(よ)ごと

 

霙降る富士の溶岩(ラバ)原濡れそぼち野武士の様(さま)に工夫ら戻る

 

千年の後に繋がむ命かも椎の実踏めばしひの実のこゑ

 

里とほく煙のなびく一処(ひとどころ)老いても母の居るあたたかさ

 

詠ひつつ癒えてゆきたし点滴の雫ひとつは命の冬芽

 

 


松浦彩美歌集『タイムレター』

定価:2,750円(税込)

判型:A5判上製カバー装

頁数:236頁

ISBN978-4-86629-279-3

 

第一歌集!

 

定型の基本に従って素直に生活実感をいつわりなく詠い、正直に純粋に真直ぐに詠み続けた作者が着々と詠み残した努力の結果が、そのまま本集に集約されていることに改めて眼を見張った。

御供平佶 序より

 

 

 

春の朝鏡にむかひ眉をひく胎動あれば手を止めて待つ

 

真夜中を打つ春のあめ雨音の向かうに荒るる湘南の海

 

初めての子離れの儀を助産師のためらひのなく臍の緒を切る

 

跳び縄と娘の顔交互にのぞく窓炬燵より見る正月二日

 

冷蔵の缶のビールの心地して子を待つ冬のグラウンドの夜

 

 


大木恵理子歌集『コンパスを振る』

定価:2,750円(税込)

判型:四六判上製カバー装

頁数:172頁

ISBN978-4-86609280-9

 

第一歌集!

------------------------------

大木の歌は、あまりレトリックに凝ることはなく、見聞したものを簡明に描いていく作風である。

一見オーソドックスだが、こうした表現の粘り強さは、他になかなか見ることができない。

 

----------------------------------吉川宏志 解説より

 

 

 

『コンパスを振る』より5首

 

迷ひ来し笹の葉そよぐ山道にコンパスを振る心澄まして

 

たはやすく話しかける登記官長わが家の登記検索したと

 

この仕事終はればだれかと旅しなさい近頃母は共にと言はざり

 

何もかも親のせゐかと児を叱り涙ぐめるは児でなく私

 

疲れたと言ひてわが背にもたれ来し裕子さんのぬくもり覚えてゐるよ

 

 

 

 


「短歌往来」2022年11月号

850円(税込)

 

【特集】わが街のグルメ

特集エッセイ・田村元

作品+エッセイ

大塚寅彦、久々湊盈子、服部崇、磯田ひさ子、永井正子、依田仁美、尾﨑朗子、永田紅、工藤貴響、森上美恵子、野間和子、柊明日香、二方久文

 

◎巻頭作品21首

河野美砂子

 

◎特別作品33首

渡英子、魚村晋太郎

 

◎作品7首

小池光、村松秀代、綾部光芳、三枝むつみ、三井修、永吉京子、黒岩剛仁、沢井照江、宇都宮とよ、永谷理一郎

 

◎作品13首

渡辺幸一、五十嵐順子、山田航、桜井健司、飯島智恵子、渡辺泰徳、園田昭夫

 

◎作品8首

蓬田真弓、依田しず子、重田美代子、山本一成、野本研一、森みずえ、佐竹キヌ子、三平忠弘、今井正和、池田晴子、松本高直、堀亜紀

 

◎結社の顔

花實/三友さよ子

 

◎新・自然を詠む・撮る・描く

一ノ関忠人

 

◎今月の視点

玉城洋子

 

◎今月の新人

楠本夏菜

 

◎書評

島崎榮一歌集『雪』/桑原正紀

奥村晃作歌集『象の眼』/佐々木六戈

佐藤通雅歌集『岸辺』/本田一弘

岡井隆歌集『阿婆世』/松村正直

江田浩司歌集『前衛短歌論攷』/川本千栄

大森静佳歌集『ヘクタール』/小黒世茂

櫛田如堂歌集『よいむなや』/石塚立子

西勝洋一歌集『晩秋賦』/岡田悠束

青木泰子歌集『幸いなるかな』/清水あかね

秋元美津枝歌集『吾れ半歩でも現役であれ』/下村すみよ

 

◎作品月評・本条恵

◎評論月評・武富純一

 

◎表紙作品・浅本竜二

◎本文カット・浅川洋

 

 

 


山脇志津歌集『笹舟』

判型:四六判上製カバー装

定価:2,750円

頁数:230頁

ISBN978-4-86629-281-6

ひろらかなひかりの歌、第一歌集!

-------------------------------------------------------------------------------

明るさと広がり、開放感と向日性、未来、前進、「ひかり」の内包するものは、そのまま山脇さんの歌の質や、方向を意味しているように思われる。ひかりを詠み、不義を許さぬ作者が、心に育んできたものを大切に守り続けることを、願ってやまない。

 

------------------------五十嵐順子 跋より-------------------------

 

『笹舟』より5首

 

透明な秋のひかりが降りそそぐ凪静もれる大土佐の海

 

栴檀の珠実ゆらして風がゆく無音のそらにひかるすじ雲

 

ゆるしてくださいお願いします五歳のこえは天に届かず

 

しっかりと吾が手を握る幼子の膚の温もりいのちの不思議

 

庭石に座れば太古の温みあり私はわたしと思う秋の日

 


桜田一夫歌集『インターナショナル』

定価:2,200円(税込)

判型:四六判並製カバー装

頁数:148頁

ISBN978-4-86629-282-3

 

第二歌集!

 

 

高々と握りこぶしを突き上げてインターナショナル歌いし日あり

 

定年退職後にあることを切っ掛けに短歌を始めましたが、歌人でもあった母の影響が多分にあったと思います。

短歌の題材は様々な分野に及び、私にとって精神のバランスを取るのに有用であったように感じます。

-----------「あとがき」より

 

 

 

『インターナショナル』より5首

 

羽化したる蝶のごとくに玄関に並べ置かれる娘の革靴

 

企業名背負いて一人さりげなく土俵の砂を掃き清めおり

 

引力に逆らうごとく伸びてゆく春の目覚めの樅の枝たち

 

点線が実線となれば傘をさし広重の絵の人物となる

 

二十年住みしマンション引き払う最後の風を窓より入れて

 

 

 

 


城俊行歌集『白の伝説』

定価:2,750円

判型:四六判上製カバー装

頁数:222頁

ISBN978-4-86629-278-6

 

第三歌集!

 

清冽な水のような無垢なるたましいは、

時として痛ましい現実に向き合ったとき、

めらめらと悔しみの焔を噴き上げる。

焔はやがて透明になり青空へ消えていく。

そんな表情が歌の年輪に刻まれる。

真っ白な年輪に。

 

 

 

『白の伝説』より5首

 

雪深く残る吉野山のぼりゆく藎十方ほろびに向かふ朝に

 

ひまはりの種てのひらに暖めて野火のごとく悲しみのくる

 

手にこぼれ来たる伝言のやうに持たされし葱を抱けば

 

風のままに下りきたりぬうつしみのかぎりなく軽くなりゆくいのち

 

一瞬のこころさわぎか豆腐切る無心のひまにきざしくるもの

 

 

 

 


荻本清子歌集『冬蝶記』

定価:2,750円(税込)

判型:A5判上製カバー装

頁数:184頁

ISBN978-4-86629-276-2

圧巻の第12歌集!

 

さびしい心には

さびしい調へが宿る。

神羅万象を見つめつつ

身近な日常に心を寄せながら。

 

生命の機微に触れてゆく。

花や鳥や蝶を詠む。自在に。

 

やがてまた、

どこかですべてが耀き始める時を願いつつ。

 

ああ、孤独な形象の連なり、いとおしいいのちの重み。

 

 

 

 

冬蝶記』より5首

 

閉じし目にうっすら泪湧くような夏日のなかに立ち上りたり

 

胸奥につねに湛える真清水の尽きせぬほどに書きつづりゆく

 

花の息わが息合わす真夜中にうつし世のものなべては眠る

 

野の枯れ葉敷きて眠れる男おり 天下住処に臆すなき生

 

見えがたき世を見つづけし眼差しの潤むかなしさ人も老いたり

 

 

 


小林峯夫歌集『途上』

定価:3,080円(税込)

判型:A5判上製カバー装

頁数:312頁

ISBN978-4-86629-273-1

 

遺るべき第五歌集。

 

---------------------------------

小林はみずからの主題と方法が、現代短歌の主流となり得ないことを知っていた。

未発表の作品を含む既発表の作品をこの遺歌集で熟読するとき、希求していた現代短歌のあるべき姿を見出すことになろう。

小林が私ども示唆し、暗示するものは何であろうか。

 

---------------------------------篠弘 栞より

 

 

 

『途上』より五首

 

玄関を出るやかならず現れるこの蛇舅母(かなべひ)に好かれているや

 

杖つけば杖を持つ手の疲るるということを知る杖つきながら

 

赤紙を受くる心に重なるやステージ4を告げられている

 

株立ちの枝につのぐむ鋭きつぼみ冬の桜の命に触るる

 

きさらぎの朝(あした)の窓に澄みわたる末期なる目にも水色の空

 

 

 

 


「短歌往来」2022年10月号

定価 850円(税込)

 

●巻頭作品

2時間40分/川野里子

 

●特別作品

夏のために/三枝浩樹

【「首」のうた百首】抄/水城春房

 

●評論21世紀の視座

創世神話「塚本邦雄」初期歌集の精神風景/江畑實

 

 

【特集】秋かぜキキョウ

作品+エッセイ

奥村晃作、小林幸子、野地安伯、押切寛子、冨樫榮太郎、浜口美知子、兵頭なぎさ、大崎瀬都、笹公人、結城文、佐波洋子、塚本諄、山内頌子

 

●作品7首

山村泰彦、楠田立身、都築直子、小寺三喜子、喜多弘樹、藤田冴、村松静風、永平緑、秋山佐和子

 

●作品8首

丸山順司、井口世津子、米山髙仁、八城スナホ、宮尻修、岩井久美子、宮本清、佐藤公子、岸本節子、沢木奈津子

 

●結社の顔ー熾/沖ななも

 

●新・自然を詠む・撮る・描く

大和三山/松井純代

 

●作品13首

伊勢方信、貝沼正子、南輝子、喜多宣夫、田村元、佐藤千代子、武藤義哉、森川和代、幸野稔、玉井まり衣

 

●今月の視点/藤島秀憲

 

●今月の新人/遠藤月尾

 

●連載

島田修三、加藤治郎、田中教子、勝又浩、豊島秀憲、佐佐木朋子、恩田英明、青戸紫枝、持田綱一郎、福島泰樹、丹波真人、本条恵、武富純一

 

●新刊歌集歌書評

 

など収載。

 

 


糸川雅子歌集『ひかりの伽藍』

定価:2,750円(税込)

判型:四六判上製カバー装

頁数:204頁

ISBN978-4-86629-277-9

第31回ながらみ書房出版賞受賞!!

 

第七歌集。

 

世界の外側に落ちる水の一滴にも

この世の中の理不尽な事柄に対しても

研ぎすまされた感性も針は分け隔てなく捉える。

びんびんとして、孤高な反響の環を広げるためにのみ。

 

 

 

 

『ひかりの伽藍』より5首

 

花いちもんめ 幼子売られ幼子の声は買われて村はなざかり

 

膝立てて横たわる女体の列島にくまなく電気の血がながれたり

 

空の音群青の音ひたひたとひかりの中をひとは降りくる

 

灯をともしきょうも始まるわが夜の視界の端に置かれて 砥石

 

そのひともこころの器に水を汲みさびしき昼をゆらしておらん

 

 

 

 


熊谷富雄歌集『曲り家』

定価:2,750円(税込)

判型:四六判上製カバー装

頁数:234頁

ISBN978-4-86629-274-8

 

第一歌集!

 

大企業を退職後に短歌を始めた作者に現役時代の

厳しい仕事の作品はないが、その後の10年の

生活の中から生まれた作品は自由で楽しい。

ふるさとを思い、父母、兄へ寄せる作者の心は温かい。

詠む人を和ませる善意の歌集である。

 

----------------------------------------------------------------中根誠

 

『曲り家』より5首

 

茅葺きの母屋と馬屋の曲り家よ浮きでる木目の柱を撫でる

 

五年経ち出版社よりわが作文採用と聞く『あたらしいこくご』

 

朝ドラの「おかえりモネ」のペダル踏む登米の町の武家屋敷通り

 

わが自転車(チャリ)は老体となり錆び付けどたらふく食えと空気入れを圧(お)す

 

主将の属す双葉翔陽高校の校歌作詞の兄はほほ笑む

 

 

 


柾木遙一郎歌集『炭化結晶』

定価:2,750円(税込)

判型:四六判並製カバー装

頁数:198頁

ISBN978-4-86629-275-5

第一歌集!

 

失われ、変わってしまった自らの「少年」を著者は探そうとしているのだろう。だがそれを直接追い求めたら、結果的にはそれを失うこととなってしまう。だから他者の中の「少年」を追う。そしてそれは常に、その時その時の具体的な少年の顔で現れる。

 ―森本平  「解説」より

 

 

 

 

『炭化結晶』より五首

 

空っぽな人間だから真っ白なページばかりの本になりたい

 

少年を轢いた列車のブレーキが人間らしき言葉を放つ

 

窓際で頬杖をつき、群れずとも生きられそうな君を見ていた

 

死んでゆく少年たちの微笑みを透かして淡く夏の銀河は

 

六月の無風の午後の曇り空、季節はこんな日に死んでいく

 


「短歌往来」2022年9月号

850円(税込)

 

【特集】

〔創刊400号記念〕

前川佐美雄賞・ながらみ現代短歌賞・ながらみ書房出版賞の歌人

 

 

●作品+エッセイ

大口玲子、谷岡亜紀、島田修三、馬場あき子、吉川宏志、栗木京子、本田一弘、黒瀬珂瀾、奥田亡羊、小島ゆかり、藤島秀憲、池田はるみ、花山多佳子、黒木三千代、三井ゆき、森山晴美、渡辺松男、江戸雪、小野雅子、小関祐子、小橋芙沙世、小笠原和幸、和嶋勝利、恒成美代子、飯沼鮎子、高島裕、田中拓也、松村正直、菊池裕、上村典子、棚木恒寿、花山周子、駒田晶子、滝下惠子、山口明子、中川佐和子、南鏡子、高山邦男、岩尾淳子、鈴木陽美、田中薫、苅谷君代、清水あかね

 

【巻頭作品21首】

盛夏渾沌/篠弘

 

【特別作品33首】

白髪がそよぐ

 

【追悼】杜澤光一郎/水城春房

 

【連載】

島田修三、加藤治郎、田中教子、勝又浩、豊島秀憲、佐佐木朋子、恩田英明、青戸紫枝、持田鋼一郎、福島泰樹、丹波真人

 

【今月の視点】河野美砂子

【今月の新人】保科勇一

 

【作品月評】7月号より/小林真代

【評論月評】貝澤俊一

 

その他、新刊歌集歌書評など。

 

 

 

 

 


三友さよ子歌集『ことの葉にのせ』

定価:2,750円(税込)

判型:四六判上製カバー装

頁数:198頁

ISBN978-4-86629-272-4

 

第二歌集!

 

雪が来る ―。

言葉の恩寵を告げに来るように。

いのちが始まり、そして尽きるまでのつましい時間。

身めぐりの風景に寄り添い、そしてかぎりなく愛でる。

詩歌のまことをそっと小脇にかかえながら・・・。

 

 

 

『ことの葉にのせ』より五首

 

秘めごとのひとつ真綿に包みつつ箪笥の中へ金花虫蔵ふ

 

冴えざえと望の光に照らされて凍て空あふぐ雪の達磨は

 

 

朝の風わたる木陰に目をつむり夏の言の葉湧きくるを待つ

 

孤独なる蛙(かはづ)が岩間に鳴きつぎて春深き夜を語り尽くせり

 

森の香が少し欲しくて鉛筆の十数本を次々削る

 

 

 

 

 


「短歌往来」2022年8月号

850円(税込)

 

【特集】

鉄道のうた

〇評論/松村正直

〇抽出/青山仁

〇作品+エッセイ

西田郁人、香川ヒサ、御供平佶、江戸雪、真中朋久、森尻理恵、本阿弥秀雄、松尾祥子、高島裕、和田沙都子、生沼義朗、三原由起子、青木雅一、奥村知代、尾形貢、永田愛、青山仁、吉田惠子、青時

🚃鉄道関係者や鉄道ファンの歌人の方々にご執筆いただきました。

歌歴も鉄道へのかかわり方もバラバラですが、鉄道愛が誌面の軸になった様に思います。(編集後記より

 

 

〇巻頭作品

人道回廊/玉井清弘

 

〇特別作品

飛鳥孤悲/前川斎子

いまは異国の/林田恒浩

 

〇評論シリーズ21世紀の視座

創世神話「塚本邦雄」初期歌集の精神風景/江畑實

 

〇作品7首

秋葉四郎、青木陽子、藤原龍一郎、大塚寅彦、上田明、五所美子、小山常光、久保美洋子、長澤ちづ、池本一郎

 

〇作品13首

久我田鶴子、髙安勇、大熊俊夫、千家統子、橋本千惠子、山田吉郎、川田茂、梶間和歌、安野ゆり子

 

〇作品8首

武田素晴、多賀陽美、川村杳平、久保とし子、大塚健、紫あかね、川上三郎、川崎百合枝、野上洋子、前田宏

 

〇結社の顔

コスモス/桑原正紀

 

〇新・自然を詠む・撮る・描く

鎌倉十二月楽辞/鷺沼あかね

 

〇連載

勝又浩、豊島秀範、水城春房、佐佐木朋子、恩田英明、青戸紫枝、持田綱一郎、福島泰樹、丹波真人

 

〇今月の視点/阪森郁代

 

〇今月の新人/松古樹美

 

〇作品月評/小林真代

 

〇評論月評/貝澤俊一

 

など。

 

 

 


「短歌往来」2022年7月号

850円(税込み)

 

◉巻頭作品21首

山岳写真家/栗木京子

 

◉特別作品33首

初夏の花草/御供平佶

戦禍止まぬ日/木村雅子

 

◉評論シリーズ 21世紀の視座

中城ふみ子『乳房喪失』のなかの「母性」と「我』/浦 晶

 

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【特集】天体のうた 星座のうた

 

◆評論/大井学

◆天体のうた30首抄/御手洗靖大・山本夏子 選

 

◆作品十首+エッセイ初夏の愛誦歌

井辻朱美、伊波真人、荻原裕幸、尾﨑朗子、川本千栄、喜多弘樹、畑彩子、東直子、柳澤美晴、山口美加代、横山未来子

 

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◉作品7首

大河原惇行、玉城洋子、鵜飼康東、池原初子、飯沼鮎子、石田照子、石井利明、有沢螢、梓志乃

 

◉作品13首

沢口芙美、栗明純生、中西敏子、後藤恵市、五十嵐順子、桜井健司、鹿取未放、笹公人、鶴岡美代子、柾木遙一郎

 

◉作品8首

三宅隆子、内田いく子、青山仁、羽田野令、小村井敏子、安仁屋升子、水谷慶一朗、原昌子、谺佳久、並木美知子

 

◉結社の顔

塔/吉川宏志

 

◉新・自然を詠む・撮る・描く/中根誠

 

◉今月の視点/糸川雅子

 

◉今月の新人/中垣健志

 

◉新刊歌集歌書評

細川光洋著『吉井勇の旅鞄』/久保田登

南輝子歌文集『神戸バンビジャンキー』/江畑實

加藤孝男歌集『青き時雨のなかを』/松村正直

鈴木恵子歌集『久遠の学舎』/久々湊盈子

 

◉連載

島田修三、加藤治郎、田中教子、勝又浩、豊島秀範、水城春房、佐佐木朋子、恩田英明、青戸紫枝、持田綱一郎、福島泰樹、丹波真人

 

◉作品月評/小林真代

◉評論月評/貝澤駿一

◉全国往来情報

◉編集後記

 

表紙作品/淺本竜二

本文カット/浅川洋

 


秋元美津枝歌集『吾れ半歩でも現役であれ………第九とともに

定価:2,530円(税込)

判型:四六判並製カバー装

頁数:156頁

ISBN978-4-86629-269-4

 

賜物の第一歌集!

 

今日生きて明日には灰となる命吾れ半歩でも現役であれ

 

朝に紅顔、夕べには白骨の身(蓮如)――。

15歳から工場でもの作りに励んできた半世紀。

さまざまな偶然が重なり歌と出会った。

慣れない工具を扱うように、師も仲間もなく一人きりで歌作に励んだ。

灰色の労働も悩みも薪と燃やし、はかないこの世の命に向き合い歌を詠む!

 

 

『吾半歩でも現役であれ・・・第九とともに』より五首

 

流れ来る三秒組み立てラインにて今日も無口で過ごす人あり

 

湧く雲に流浪の雲の重なりて秋のきざしははや空にきて

 

川上へ行くほど水は清くして色はにごりつつ郷(さと)に流るる

 

ネジまはす無意識の手に温かきいきのひと息ふれて驚く

 

吾の永年勤続祝ひのその道で解雇闘争のビラをもらひき

 

 

 

 

 

 

 


櫛田如堂歌集『よいむなや』

定価:2,750円

判型:四六判上製カバー装

頁数:230頁

ISBN978-4-86629-271-7

第四歌集!

 

櫛田如堂はその茫洋とした風体の奥に、さまざまな思念や感情を秘めた人だ。

放射能分野の研究者、コカリナ奏者、禅の修行者、そして歌人。

櫛田の心は、多様な時空を旅しながら、人類の歴史を、宇宙の摂理を、亡き父母と妻を、今現在の天災・人災を思い、彫り深いことばを発する。

読者はここに、21世紀の魂の遍歴を体感するだろう。

ーーーー坂井修一

 

 

『よいむなや』より4首

 

落日の太古の空を夢見るや羊歯の葉先の黄昏蜻蛉

 

アリゾナの巨大サボテン群生す人間の時間サボテンの時間

 

菩提寺に修す真夏の七回忌母ゆきて妻ゆきて蝉鳴きやまず

 

秋の夜の闇なつかしみ君の名をよべば応ふる猫の声かな

 

 


飯島智恵子歌集『草木瓜の咲く家』

定価:2,750円

判型:四六判上製カバー装

頁数:208頁

ISBN978-4-86629-270-0

 

この世の人情の温かさと辛さをユーモアに包(くる)んで詠いあげた、微苦笑の軽気球。とどこおりない洒脱な詠み口は、作者の人間愛と人生肯定の強さを証し、時折のぞく悪戯(いたずら)ごころが大らかな人柄を偲ばせる。

60年の作歌歴を凝縮した熟成の第二歌集。

(千々和久幸)

 

 

 

『草木瓜の咲く家』より5首

 

草木瓜(くさぼけ)の返り花咲く生垣に虻がひすがらきて遊びおり

 

取り壊す噂ながるるビルの階老人が夕陽背にのぼりゆく

 

乾反り葉を踏んでいこうかかさこそと乾いた音がこの靴は好き

 

フェイス・シールド百円也ふたつ買う夫にひとつ私にひとつ

 

陽の落ちて闇にとけゆく遺跡群ほーろろんと蜥蜴(とかげ)が鳴けり

 

巻き尺をのばしビュルンと放ちやる何もなかった一日(ひとひ)の終わり

 

 


佐藤恵美子歌集『青葉木莵』

定価:2,750円

判型:四六判上製カバー装

頁数:228頁

ISBN978-4-86629-266-3

第三歌集!

 

『青雁』『島梟の森』などの歌集の著者、佐藤恵美子は新アララギの探鳥の歌人として知られる。

 

人生半ば、病を得た彼女は、度々の生命の危機を乗り越えて来た。そのさなか、杖とも頼む夫君を失い悲嘆のどん底にあった。

 

しかし、やがてそこから立ち上がった。

 

彼女を暖かく見守る子や孫たち、庭を訪れる多くの野鳥たちを詠むことを力に再起したのだ。本書は一日一生の思いを伝える一歌人の「生」の記録である。(雁部貞夫)

 

 

『青葉木菟』より5首

 

古(いにしへ)の名残とどむる石畳踏みしめ登るコロンブス生家へ

 

歩幅広く歩む大鷺のたつる波鳰の浮巣を岸に寄せ来る

 

山歩きすでに叶はぬわが身なれ『日本百名山を詠む』を手に心豊けし

 

自然に親しむ心伝へしは祖父にして野鳥愛するわれとなりたり

 

慈悲心鳥の声聞き佇む里山の朝の冷気に活力の湧く

 

機の窓にまもりしかの山デナリ峰われはマッキンリーと呼びて親しむ

 

病みてより探鳥会に行くを得ず庭に尉翁あしたより来る

 


二方久文歌集『みめいしす』

定価:2,200円(税込)

判型:A5判並製

頁数:152頁

ISBN978-4-86629-261-8

第二歌集!

 

ひらかれた言葉から拓かれる世界。

かるい言葉のなかに打ち込められたひとつひとつの物語。

その物語をわたしたちはいくつ立ち上げることができるだろうか。

「みめいしす」リテラシーの力である。

 

 

『みめいしす』より5首

 

この庭にシャボンの玉はうつくしくうまれ来ぬ子をくるくる映す

 

死の朝はあわきひかりか みちびかれモノレールという器に乗りぬ

 

威勢よく神輿が夜をかきまわすわたしひとりをのけものにして

 

いちじくのかおりにむせぶ 君はただいずれたれかの妻となるべく

 

表面をバターナイフでうっすらとけずるくらいのはなしでいいから

 


蓬田真弓歌集『白木蓮ほころぶ』

定価:2,750円(税込)

判型:四六判上製カバー装

頁数:212頁

ISBN978-4-86629-257-1

 

第一歌集!

 

なんと生き生きと豊かな世界なのだろう。

こういう歌集に出会いたくて

私は短歌をやっていたのだとも思う。

 

何のために歌を詠むのか、

歌が自己表現を超えて世界に開かれているかどうか。

蓬田真弓は現代に生きる私たちの背中を力強く押してくれる。

 

奥田亡羊「解説」より

 

 

 

『白木蓮ほころぶ』より5首

 

盗人のように闇夜に植えに来し白木蓮(はくれん)ほころぶ四年(よつとせ)を経て経て

 

「ホタル橋」「かわせみ橋」と名付けられ探検マップは完成近し

 

雪やみし杣道ゆけば我らより先を歩みし貂(てん)の足跡

 

「先生はいつまで此処さ来てけるの」問われ答える「死ぬまでだべな」

 

雪原は光の粒子を放ちつつ我を励ます アルキハジメヨ

 

 

 


服部崇歌集『新しい生活様式』

定価:2,640円

判型:四六判上製カバー装

頁数:166頁

ISBN978-4-86629-267-0

挑発する知の第二歌集!

 

「栞」より

 

世界との接し方で言うと、没入し切らず、どこか醒めている。かといって冷笑的ではない。謎を含んだ孤独で内省的な知の手触りがある。 -谷岡亜紀

 

「新しい生活様式」が、服部さんを媒介として、短歌という詩型にどのように作用するのか注目したい。 -河野美砂子

 

服部の目が、観察する眼以上の、ユーモアや批評を含んだ挑発的なものであることが窺える。 -島田幸典

 

 

~『新しい生活様式』より五首~

 

カマキリに食はれて終はる夏の日のあたまを去らずそれも人生

 

猫として生まれてをらばキタイスカヤ通りの裏を歩いてゐたか

 

工作を失敗したる夜の更けてひとり眠りをむさぼるわれは

 

目に見えぬなにかに触れてゐたらしいゆつくり酸化してゆく林檎

 

鴨川のデルタのうへのなつぞらをリリエンタール七世が飛ぶ

 

 

 

 

 


「短歌往来」2022年6月号

850円(税込)

 

◉巻頭作品21首

ベビーカーはさくらの下に/小島ゆかり

 

◉特別作品33首

藁/今野寿美

姉妹都市/吉川宏志

 

◉評論シリーズ 21世紀の視座

連作のタイトルの付け方/服部崇

 

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【特集】

第20回前川佐美雄賞発表

第30回ながらみ書房出版賞発表

 

前川佐美雄賞受賞作

『吉井勇の旅鞄』/細川光洋

 

ながらみ書房出版賞受賞作

『森へ行った日』/川本千栄

 

選考を終えて

佐佐木幸綱、三枝昻之、佐々木幹郎、俵万智、加藤治郎

 

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◉作品7首

時田則雄、松永智子、安藤直彦、遠山利子、加藤孝男、河野小百合、柳宣宏、金子正男、草田照子、川田由布子

 

◉作品13首

浜田康敬、竹安隆代、三本松幸紀、廣庭由利子、久保田壽子、高山邦男、平林静代、松谷東一郎、いずみ司、小島涼我、椎名みずほ、中西洋子

 

◉作品8首

奥村秀子、佐竹キヌ子、依田仁美、小谷陽子、佐々木伸彦、小鳥沢雪江、富澤文子、武藤敏春、平石眞理、丸山順司、堀越照代

 

◉結社の顔

白珠/安田純生

 

◉新・自然を詠む・撮る・描く/高木佳子

 

◉今月の視点/谷岡亜紀

 

 

◉今月の新人/初瀬勇輔

 

◉連載

島田修三、加藤治郎、田中教子、勝又浩、豊島秀範、水城春房、佐佐木朋子、恩田英明、青戸紫枝、持田綱一郎、福島泰樹、丹波真人

 

◉新刊歌手歌書評

横山岩男歌集『うたの歳月』/秋葉四郎

山下翔歌集『meal』/大森静佳

佐藤祐禎歌集『再び還らず』/藤田美智子

黒田淑子歌集『花ものがたり』/大澤澄子

三宅隆子歌集『むらさきの庭』/藤岡成子

石井松夫著『前登志夫の歌世界に遊ぶ』/喜多弘樹

 

◉作品月評/小林真代

◉評論月評/貝澤駿一

◉全国往来情報

◉編集後記

 

表紙作品/淺本竜二

本文カット/浅川洋

 


武藤義哉歌集『春の幾何学』

定価:2,750円(税込)

判型:四六判上製カバー装

頁数:202頁

ISBN978-4-86629-265-6

第一歌集。

 

合唱の声が次第にまとまって誰の声でもな声となる

 

それぞれに満月ひとつ詰められて販売される花札の箱

 

海中(わたなか)の世界で飛び魚が語り伝える風の体験

 

不思議な歌集だと思う。

この歌集では、しばしば現代短歌の主役をつとめる<われ><現在><人間>が主役ではなく、脇役をつとめたり、全く出てこなかったりする。

だからだろう、私たち読者は、どこに連れて行かれるか分からない楽しみと冒険とほんの少しの不安を味わうことになる。

ーー佐佐木幸綱・帯文

 

 

 

『春の幾何学』より五首

 

どこから来てどこへ行くかと駅員に根源的なことを聞かれる

 

光線が斜めにさして垂直に生命(いのち)たちゆく春の幾何学

 

たんぽぽの綿毛預かり青空はまたたんぽぽの配置を変える

 

さざなみにしばし休んでもらうため今朝湖は氷を張った

 

少しずつ薔薇色帯びてゆく宇宙 天文学者の晩酌進む

 

 


佐藤公子歌集『草かもしれず花かも知れず』

定価:2,640円(税込)

判型:四六判並製カバー装

頁数:164頁

ISBN978-4-86629-26-1

第一歌集!

 

はじまりは糸のやうなる葱の芽の

あをあをと立つ新春の庭

 

「蝶」や「蟻」、且つは「もぐら」のような小動物までもが登場し、そこからまた、自分の家の庭の風景や、野に咲く花々へ目のゆく、その目線の柔らかさが実に魅力的なのである。

---浜田康敬 「跋文」より

 

 

 

 

『草かもしれず花かも知れず』より五首

 

電話機の着信記録非通知を示せば想像膨らませをり

 

青色の紙に直線引くやうな電線伸びをり夏空の中

 

三ミリのありが五ミリの虫を曳きじぐざぐ歩きて視界

 

息継ぎのごとく地面を盛り上げてわが家の庭に棲むもぐらもち

 

見慣れたる川も田んぼも旅人の心で見れば美しきわが町

 

 

 

 

 


「短歌往来」2022年5月号

850円(税込)

 

◉巻頭作品21首

ジャベリン/大辻隆弘

 

◉特別作品33首

道化/水原紫苑

魂のほたる/王紅花

 

◉評論シリーズ 21世紀の視座

創世神話 塚本邦雄 初期歌集の精神風景12/江畑實

 

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【特集】初夏のうた

◆評論 

命のかがやきとともに/横山未来子

 

◆作品十首+エッセイ初夏の愛誦歌

山中律雄、結城千賀子、外塚喬、駒田晶子、浜口美知子、三井修、君山宇多子、柴田典昭、経塚朋子、山口美加代、斎藤千代、清水正人、松尾祥子、武富純一、間ルリ、久葉堯、河原由美子、夏野いづみ

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◉作品7首

来嶋靖生、千々和久幸、村山美恵子、小石雅夫、三井ゆき、金子貞雄、影山美智子、山本司、藤井幸子、畑彩子、長嶺元久、運天政徳

 

◉作品8首

栄晶子、斉藤真伸、三田純子、井谷まさみち、吉濱みち子、三浦好博、氷室敬子、さいかち真、宮下俊博、高崎淳子、中津正雄

 

◉追悼

小川佳世子 ー岩尾淳子

西勝洋一 ー柊明日香

 

◉新・自然を詠む・撮る・描く/名嘉真恵美子

 

◉結社の顔

星雲/大熊俊夫

 

◉連載

島田修三、加藤治郎、田中教子、勝又浩、豊島秀範、水城春房、佐佐木朋子、恩田英明、青戸紫枝、持田綱一郎、福島泰樹、丹波真人

 

◉今月の視点/寺島博子

 

◉今月の新人/ゴウヒデキ

 

◉新刊歌集歌書評

『岡野弘彦全歌集』/佐藤通雅

桜井健司歌集『平津の坂』/三井修

奥田亡羊歌集『花』/大松達知

間瀬敬著『茂吉を新しく読む』/酒井佐忠

久保田壽子歌集『オリオンの水脈』/秋山佐和子

奥村秀子歌集『清河原』/西白燁子

島ゆり歌集『サロベツ原野』/桑原正紀

 

◉作品月評/小林真代

◉評論月評/貝澤駿一

◉全国往来情報

 

表紙作品/淺本竜二

本文カット/浅川洋

 

 


『御供平佶歌集 全四冊』平成30年度埼玉県歌人会賞受賞!!