宇留野むつみ歌集『父のマント』

満州の広野と思う今朝の夢父のマントにもぐりていたり

たぐりゆく記憶の底につねにある父のぬくき掌母のさびしさ

満州国の崩れゆきし日ひまわりが照明弾なる光に浮きぬ

子を負いてひとかたまりの影となり雪夜を歩みし記憶がかえる

 

大きな父の「マント」。

愛情深い父母の姿。

満州国の終わりの日のひまわり。

幼い心にくっきりと刻まれた愛と戦争の記憶がうたわれている。米川千嘉子(帯文より)

 

46版上製カバー装 2625円•税込