造酒廣秋歌集『秋花冬月』

夕つ日にすくはれてとぶ鳥のむれ時雨すぎたる空があかるし

くちづけのあつきひとときわが視野のけぶるがごとくあをあをとせり

秋ははや釣鐘人参咲きにけりふるさととよぶうすきくらがり

背びらきのさかなのやうに扁平になりて眠れるゆふぐれの父

たかむらをなぎゆく夜の秋の風ひとにかへせば手はあたたかし

薄紙につつんで桃をつめあはすやうに心を並べてみたい

 

歳月は人を孤独にする。

出会い、別れのくりかえし。

ひときわ人を恋しいと思う時、なつかしいと思う時

歌は密かに三界を語り始める!

 

四六版上製カバー装 三〇〇〇円•税込