天を突く轟音地響くカデナ基地 祈り裂かれて血を吐く仏桑華
ニッポンにありてあらざる沖縄かシジフォスの石積まれゆく島
首すらももたげ得ず夫の腕の中生の香放つレモンを嗅ぎぬ
失明を告げられ怨嗟の声あげし息子はいま車いすのわれに添う日々
危うきはきりぎしに咲く白百合の九条われら声あげ守らん
第一歌集『沖縄の孤独』から九年。抱く内なる沖縄、
そして戦後なき「オキナワ」の現実と対峙し一途に詠い続けて30年。
突如襲った病に長い闘病生活を余儀なくされているが、
その真摯な姿勢は少しも揺らぐ事が無い。
多くの受賞作と共感を呼ぶ作品を精選して収録した第二歌集。 玉城寛子
A5版上製カバー装 2730円•税込