西澤惠子歌集『各駅停車』

留守宅の門扉のわきに犬槙が衛兵のごとまっすぐに立つ

一人降り二人降りして初夏の午後くつろぎ漂う各駅停車

娘との喧嘩の後のショッピング拘りつつも連れだって行く

亡き父が庭隅に植えし山紅葉巨木となりて影を作れり

橋の上にシャッターチャンスを持つ人の肩に桜の花びらの散る

 

槙は隙間なく葉を茂らせ、枝を伸ばす。

まさに衛兵のごとくまっすぐに立ち、内の様子は隠れて見えなくする。 晋樹隆彦•序より

 

四六判上製カバー装 2625円•税込