現世に縁の糸でむすばれて綾なる彩で織りたし家族
紫野しぶきをあげて走り去る藤の穂波よ何処にゆくか
君と並み紫けむる夜半の庭一千条の藤と語りぬ
七十五歳の終りも近し赤き靴履きて歩めば女童のごとし
藤の花房が風に揺れ靡くように
帰らぬ時間と帰らぬ大切な人。
あるいはまた、これからの未来を受け継ごうとする
若い家族やガールスカウトの少女らや友人知人達。
佐藤さんが歌に詠み込んだものは佐藤さんに愛される。
短歌にはそんな役割もあって、それはとっても重要なのだとあらてめて思い知らされる。
川野里子 帯文
四六判上製カバー装 2625円•税込