岩尾淳子歌集『眠らない島』

こころなら聞こえているというように向きあったまま海鳥たちは

あたたかいコンクリートに自転車を寄せておく海の眠りのそばに

陽のあたるながい廊下をゆくようにさみしさがきて抱擁終えぬ

鳥たちがようやく騒ぎ始めてもあなたはいつも眠らない島

逆光にしずくしている海鳥をかつて入り江に見たことがある

 

こころが聞こえるとは、なんと美しい言葉だろう。

海鳥たちのこころと作者の心が響き合っている。

内海の穏やかな風景は、読者の喜びとして

胸に広がるのである。        加藤治郎•跋より

 

46判上製カバー装 2625円•税込