土谷榮子歌集『虹色の鉛筆』

虹色に書ける鉛筆あるを知る苦しみ悲しみ書きゆかば虹

長き首空に屈めて齝みぬきりんは麒麟のことなど知らず

モンゴルに太陽電池冷蔵庫背に乗せ歩むらくだありしと

静けさは師の声のみを聞かせをり夕立しろし谷渡り来る

帰り来し包みの中にひそとゐる桜ひとひらふふふふ ふふふ

病まふ日は里芋などに顔も似て土に還れる日を思ひたる

 

若々しい好奇心で、目の前に現れてくるさまざまな事象をまっすぐに見つめ、それをどう表現しようかと、苦労もされている。

実に充実した豊かな精神生活である。

-森岡千賀子•解説より-

 

四六判上製カバー装 2730円•税込