山深く住むならねども目を閉じて峡吹きおろす風と思うも
積まれいし書類がいつしかなくなりぬ癌を病みいる同僚の机
生きている者のおごりは世の常の離反のごとく病む人を見る
職を退き、閑居の日々を送ろうとする歌人のこころに去来するさまざまな人生の鳥影。
それらを静かに受けとめ、淡々と詠む。
生涯の師•近藤芳美への回想、ふるさとのこと、母の病いと死など。
感性鋭く、批評性をたっぷりと蔵した大島短歌はいま滋味と渋みを加えつつ、新境地へと向う!
A5判上製カバー装 2835円•税込