石橋美年子歌集『母と暮らせば』

この夏を逝かしむ蝉の絶唱よ無頼の我の手足さびしき

白粥にクレジーソルト少しふり胃腸の休養母と暮らせば

食細き夏の昼餉は冷麦を言葉飾らずうましと母は

人生に帰途の美学はありときく欲なき母へのひとさじの粥

 

老いてゆく母とともに暮らし、

介護し、看取り、そして母の

永眠までの長い時間。

作者はやさしく、

温かいこころで精一杯に歌い続けた。

 

四六判上製カバー装 2625円•税込