島内美代歌集『風の十字路』

■日本歌人クラブ北関東ブロック優良歌集

 

わが家の風の十字路わが居場所避暑地気分に机を据

天空より八一のひらがな舞ふやうに春の雪ふる暮れなづむ里

金平糖ガラスの皿に転がしてひとりの夜の星座をつくる

 

出会いと別れの繰り返し、喜びの風、かなしみの風、無常の風。

それらがこもごもに交差し吹きすぎてゆく風の十字路。

そんな居場所を見つけた作者は、もう歌わずにはおれなくなる。

風のように透明で軽やかに、そして孤独に。

 

四六判上製カバー装 2625円•税込