28日 8月 1992 安藤美保歌集『水の粒子』 フレンチスリーブの肩見ゆ扉という扉にきびきびと鍵をかけて出る母 ふいに来た彫像のように妹のからだの線は強くととのう 寒天質に閉じこめられた吾を包み駅ビル四階喫茶室光る 風車からから回れ父親が吾にはぐれし五月の砂場 ずいずいと悲しみ来れば一匹のとんぼのように本屋に入る 古典から学んだ確かな骨格。 現代女性の柔らかな感覚。 「寒天質に閉じ込められた吾」が歌う世界は、透明でしかも不思議な手ごたえに満ちている。 俵万智 46判上製カバー装 2625円•税込 tagPlaceholderカテゴリ: 新刊歌集歌書, 日記, 好評歌集