遠山昌子歌集『花の崩落』

ふるふると咲きつづけゐし芍薬のあえかに白き花の崩落

黒揚羽するりと逃げて吾が指に三日月紋の長く消えざり

登志夫選の歌評は詩篇と思ふ夜。匂はぬ言葉が辞書に睡れる

遠からずわが骨拾ふをみなごの若き鎖骨のうす青く透く

赤ちゃんをみどりごと呼びみどりなす黒髪といふ みどりはいのち

 

先師•前登志夫の下で歌学びして16年。

その豊かな詩的時間の中で、

じっくりと磨かれた心と感性が語りかけてくる。

崩落とは天空へ向かって上昇する垂直の飛翔だ。

 

四六判上製カバー装 2730円•税込