西野國陽歌集『木漏れ日』

教育は野良の仕事に似るものと語りつつ飲む若き教師と

茎や葉が青き匂ひの断片となりて飛び来る草刈機より

葉桜の木洩れ日揺れて抱かれたるみどり児しきりに瞬きをする

麦秋のわら焼くにほひ県道をいそぐ車中へ風となり来る

 

重要なのはここに表れる作者の姿が常に肯定的であるといふこと。今日の教育の現場が様々な問題を抱へてゐることは周知の事実である。教育の立場も以前とは比べものにならないくらゐ複雑で難しくなつてゐる。しかしさういふ中にあつても、出来る限り前向きに生徒たちに寄り添はうとする姿が浮かび上がる。(馬場昭徳「解説」より)

 

四六判上製カバー装 2625円•税込