彩淡く時計草咲く諸々の過去など問わぬと言う円けさに
華やがぬ身を運びゆく夢見月黄砂にまみれ花粉にまみれ
ひりひりと渇く心を温めくる小鳥は小鳥の言葉重ねて
貝殻骨何故か淋しい夕暮れはモカとミルクと少しの砂糖
人間(ひと)去りし汚染区域の里桜しずごころなく花零しいん
優雅に水面をすべる水鳥が水面下では脚を動かし続け、穏やかな流れに見える川も、その川底では絶えず浸食を繰り返しているように、人間もまた、日々心を戦がせながら営みを続けているのかも知れません。そのような思いも込めて表題と致しました。「あとがき」より
四六判上製カバー装 2300円•税別