森屋めぐみ歌集『猫の耳』

部屋の隅に離れて眠る猫の耳ときどき我を確かめている

雷鳴にゾワリと全身逆立てて立ち上がりたり二匹の猫は

真昼間のゴールデン街毛繕いする猫以外動くものなし

端無くも幽明界を異にして父と真昼の雨を見ている

 

作者の猫の歌の特色は、猫をよく見て、よくよく観察していることである。猫好きの人は、猫の写真集だけではなく、猫のエッセイ、猫の短歌まで愛読すると聞く。この歌集は、猫好きの人たちに愛読されることになるだろう。

佐佐木幸綱•跋より

 

四六判上製カバー装 2500円•税別