原田治子歌集『異種』

冬野菜つぎつぎ黄色の花咲かす畑にひとり異種として居り

ひと穴に五粒の種を埋めゆくいずれ四粒は間引かれゆくに

先長き介護の途中リュックひとつ切符一枚のひとりの旅よ

原発と風車を同時に見渡せる岬に立ちて南風受く

「赤福」を提げて戻れば夫笑う伊勢へ行ったのか次は出雲か

 

めぐりの広野を見わたし、周囲の力を借りながら挑んだ野菜作り。自然のゆるぎやまぬ生命力に一個の異形としての存在を実感した。(晋樹隆彦•跋より)

 

四六判上製カバー装 2500円•税別