この世の外の世界あるらし満月の冴えわたる辺に我は住みたし
混凝土(コンクリート)の塀の隙より伸び来たりわが庭に割く花韮の白
月光の隙なく及ぶ冬木立過去世の誰ぞ近付き来るは
無造作にスーパーのカートに入れられてカサブランカの激しく揺るる
雲一つ無き朝空に黒く立つ林より蝉の声漏れはじむ
遠き物、遥かな視界へ関心の深い作者。満月を仰ぎながら亡き主人を思い浮かべた。西行なら枯れすすきの近くで月を愛でたに相違ないが、作者は場を選ばない。
晋樹隆彦•跋より
四六版上製カバー装 2500円•税別