翡翠はぬるめる水に零しゆく色といふものはなやかなものを
吹く風はさびしかれども幾つかづつ寄りあひながら柚子みのりゆく
書きながら見知らぬ人に書くごとく水に書きゐるごとく思へり
青き空そよげる若葉したたれる水の音するそれだけなれど
かなかなの声をきかむとだれもみな風見るやうな遠きまなざし
水の音が聴こえる。そっと耳を澄ます。
なつかしいその響き、高鳴る鼓動。
太初に言葉があったように、
私の未生以前に歌が息づいていた。
こころを潤し、流れる水のように歌を詠む!
四六版上製カバー装 2500円・税別