水のようなドレスが着たい月の夜 光目指して烏賊昇ります
手合わせて水汲み運ぶおさな子の砂の穴いつ満ちるのだろう
卵割る指の加減を知らなくて殻は孵らぬいのちと交じる
脚本に「ああ」と書くのは楽しくて「ああ」という声一人一人の
空見上げ飛びたいウサギの耳は羽ソソラソラソラ月にかえろう
あをによし奈良の都の万緑に劇団ひとつ立ち上ぐる君 前登志夫
月のウサギよ跳ねてごらん。
暮らしの隙間のメルヘンを物語るように、
定型という小さな楽器が演じ始める。
四六版上製カバー装 2500円・税別