永谷理一郎『忘れ物を取りに帰ろう』

忘れ物を取りに帰ろう 敗戦後の無限に開けた青空のメモを

原爆が昭和史を分けた アメリカではエンゼルと呼ぶサタンの花束

銀座にはママたちの夢が棲んでいた 沈んで浮いて消えた夢たち

メビウスの軌道がそっと用意され 平和の顔した戦争がくる

絆には黒い絆もあるという 原発進めた絆くろぐろ 

 

反骨の気概とやわらかな心が凝視する世界は暗か明か?

この限りあるいのちを生きる者の眼に時代はどう映るのか?

するどい批評性をたたえた歌の数々と明快な論の展開。

八十五歳、人生の忘れ物を探し続ける颯爽とした口語短歌の旅人。

 

四六版上製カバー装 1500円・税別