ひとひらは南天の葉にひとひらはおさなの頭に春のあわゆき
らっきょうの匂いゆらゆら立ち昇るはつなつの蜂の傾いてとぶ
一寸の虫を見つけて聞いてみるこの長雨はいつ止むのかと
くさ原を舐めるがに飛ぶつばくろはこの地の誰より風を知る民
幾駅を歩いただろう京の街かたわらを大きく川は流れる
風がやむ。しばらくの沈黙。
若葉をひるがえし颯爽と風が吹き抜けていく。
そんな繰り返しの日常、そして風景と時間のゆらぎ。
自然の豊かなリズムに身をゆだねながら、
清澄な風笛のように、やわらかな歌のしらべが湧く。
四六版上製カバー装 2500円・税別