梅地和子歌集『小窓を見つめる』

孤独感をはるかに超える冷酷な宇宙に生きる動悸苦しも

身体が冷えてふるえる夜におもう春の彼岸にたたずむ一人

微光さえ雲ににじみて消えてゆく鴉一羽の横切る時間

死がそこに扉をあけて待つを見ん真夏の夕べ心臓()れる

よき歌を生みたきこころ湧ききたりすべて金色の五月の夕べ

 

人は誰でも、たとえ玄冬の時節にある人でも、心はときめく。何故か。「歌」は、遊びは、宇宙の息吹、宇宙のリズム、生と死との溶け合いのなかで息づくものであるからだ。「文台」を大切にして、さらに、珠玉の作品を残すことを祈る。良い出会いに報いるためにも。

飯岡秀夫・序より

 

四六版並製カバー装 1200円・税別