悲しみをかなしみつづける父がゐる南十字星の心臓のあたり
「もしやもしや」
夜ひらくササン朝ペルシアの古星図は露にしめりて吸ひついてくる
「南十字星」
青空をめまひするまで仰ぎゐてこころ躓く青あをすぎる
「青空」
二黒土星甲申歳昭和十九年われ月下に生れき月びかりさせて
「塚本邦雄の青春」
ムルソーの太陽はとつくにない 闇は濾過しても闇ゆすつても闇
「PUNK ROCKER」
私も、両親が戦争体験を抱えた世代である。おりにつけ聞かされた逸話から、著者や私自身がこの世に生まれた事の希有さを思い知る。平和を相続していくことも、幾多の困難を克服せねばならないのか?そのことに対する感慨を、南輝子は100の歌にして問いかけている。 塚本靑史・帯文より
四六版上製カバー装 2500円・税別