潮騒のごとき囀りつばくろの葦の塒に吸はれて止みぬ
離れ住む母の買物携帯に訊きつつ選ぶ秋のブラウス
潮風に吹き寄せらるる花のごとかもめ群れゐる知多の渚に
胸底の埋め火かもとシクラメン夕べの窓に緋の色震ふ
氷の色の蒼空映る湖にかそかなさざ波水鳥の影
安らかに笑む母の面苦行より解き放されし尼僧のごとく
鳥に関わる知識と情愛が実に深く、鳥をモチーフにした作品が主流になっています。繊細でナイーブな歌は作者の人柄と相通じるものがあり、純粋な思いが伝わってきます。(青木陽子・帯文)
A5版上製カバー装丁 2600円税別