21日 3月 2017 大原葉子歌集『だいだらぼふ』 潰れるかも知れぬ銀行しよひこみて見舞ひくるるよこの青年も 風のなき黄落の森の華やぎは日雀とび去りゆきてさらなり 川水にななめに降り込む雪のかげ千の小魚の走れると見き 松ぼくりもつと落とすと石抛る幼よいくつもよき恋を得よ 農道の草に捨てある山椒魚 生とも死とも怒(ぬ)とも笑(せう)とも 巨人伝説の山とのおごそかな対峙。 そこに歌の発想の始源をしかと定め、 大きくしなやかに拡散してゆくしらべ。 思念の深みから探り出す、 たしかな現実の手ざわり。 tagPlaceholderカテゴリ: 新刊歌集歌書, 日記, お, 現代女性歌人叢書, 2017