29日 9月 2017 石井喜久子『更紗石』 銀嶺の赤城は雄々しさながらに関八州を統すべるごとくに 冬に月の魂しづめとぞ筆もてば墨の香しるく匂ひつつ立つ 亡びしは滅びの色の草もみぢ更地のままに秋立ちにけり 女(め)の孫はけふははたちの祝膳かこめばほのぼの溢れくるもの 子らは去りふたりの老いにゆるゆると時は流れて小寒となる 過ぎ去っていった歳月のなかで、陰翳をもってよみがえる旅の記憶、亡き人々の顔、そして山河草木。目を閉じて、深く静かにこころをめぐらせれば、かれらは歌のすがたとなって現れてくる。 tagPlaceholderカテゴリ: 新刊歌集歌書, 日記, い, 2017