定価:2500円(税別)
版型:四六判上製カバー装
頁数:224頁
ISBN978-4-86629-092-8
他火といひ他日ともいへり
遥かなる生(よ)を旅として鳴る海の石
大岡信さんが亡くなられた。父上の博先生が逝かれた後も、信先生には深い恩恵を享け、その上、青戸紫枝さんを私の許へ届けて下さった。輪廻というものなのだろうか。紫枝さんの詠む大岡信への挽歌は、巧抽を越えて死者の魂に帰依するかのように切ない。
温井松代・序より
『海の石鳴る』より五首
すくすくといふオノマトペあり育ちゆく不思議の音を掬う日本語
弾丸の音かすめ過ぎたる三歳の耳の記憶の鮮やかさ言ふ
それともでかいか質されし笑顔のむかうのデリシャス林檎
つんつんと立てし髪型なほし来し生徒と窓の風をみてゐる