転勤ぐらしの途上で出逢った地、盛岡を、生きる場として積極的に選んだのだ。
人を愛するように土地を愛する。
深く継続する愛は感情の醍醐味と言えるだろう。
そして、詠まれる盛岡は、喜びの呼吸のように眩しい。
鈴木英子 帯文より
『雨水は過ぎた』より5首
あのひと
「啄木は多情家なれば」と渋民の男は語る旧知の如く
詠えども何も解決せぬ日々のうたは悲しくうたは重たい
春立てば天も大地もゆるみゆきわたしもほのかにゆるみゆくかな
ひとよ
ひぐらしはかなかなかなと疑いてそその日暮らしの一生を送る
こもかぶり雪の庭先春を待つ梅よ牡丹よ雨水は過ぎた
判型:四六判上製カバー装
頁数:176頁
定価:2500円(税別)
ISBN 978-4-86629-114-7