この坂はきつと最後にのぼる坂けふホスピスの予約にのぼる
突然、予告された近い未来の死。
そこから振り返るときの来し方の日日のやさしさ、いとおしさ。
さりげない時間の積み重ねのかけがえのなさを
この歌集は私たちに教えてくれるであろう。
馬場明徳 帯文より
『鳥の時間』より5首
と を
「たつた一人救援列車に乗つたげなあん子はまあだ十歳やつたとよ」
金毘羅山が大綱まはしゐるやうな虹がかかれりさあさあ跳ばな
「ハイどうぞ」見えないケーキ渡されぬ「イチゴがのつてゐます」と言はれ
ろくじふはち
おとうとのほほを撫でやる「元気でね」六十八歳の弟の頬
病室の窓に山裾ひろげゐる金毘羅山の夕輝きよ
判型:四六判上製カバー装
頁数:192頁
定価:2500円(税別)
ISBN 978-4-86629-113-0