故郷の風土や家族、親族をテーマとした歌が、作品世界に厚みをもたらしている。ユーモアの背後にある、人生の手触りと生きてゆくことへの思いを読み取るべきだろう。
―――――――谷岡亜紀「解説」より
『スピーチ・バルーン』より5首
鳥の切手花の切手を組み合わせ小さな個展の案内がくる
たんぽぽの綿毛残らず風に飛び<負ける勇気>をおもう日曜
くさまくら旅の鞄は重すぎるいつか手ぶらで死にゆくものを
ベル
がろんがろん腰に鳴る鐘はずすとき父から山の匂い立ちたり
明け方の夢のおわりはあるようなないような虹の脚に似ていて
判型:四六判上製カバー装
頁数:186頁
定価:2500円(税別)
ISBN 978-4-86629-111-6