塚本敞歌集『頭上の剣』

 

頭上の剣現実となり原発の事故に国中震撼する日々

 

 

先師・宮地伸一のこころざしをもって、

 

荒ぶる老いの剣を振るうように歌う。

 

日常雑事も、作者にとっては作歌の源泉。

 

みちのくの風土をふかく内包しながら。

 

 

 

 

『頭上の剣』より5首

 

子と孫がキャッチボールをしてをりぬ吾も子とかく楽しき日ありき

 

主夫もまた楽しと思ふ時もあり妻の喜ぶ顔見たるとき

 

学友のまた一人逝く知らせあり学徒動員の日々思ひをり

 

今日一日歩きし歩数をケイタイが知らせくれたり寂しき命

 

羊の字未と書きつつまだ為さぬ思ひの一つにこたはりてゐる

 

判型:46判上製カバー装

頁数:194頁

定価:2500円(税別)

ISBN 978-4-86629-105-5