小林優子第二歌集『二月の桜』
北の大地に棲む。
ここが故郷だ。
寒々とした夕陽に向かって、
あるいは降り積もる雪を踏みしめながら、
こころに温めてきた思いを
そっと定型の器に載せる。
『二月の桜』より5首
樹々に積む雪に夕陽の沁み入れば北のふるさと離れがたかり
枝々にひよどりあつめあかるめる ああ、あれはそう二月の桜
海見えぬ町に生まれて海のある町に生まれし男と逢いき
だんまりの石を濡らして夏の雨とおり過ぎたち夕かたむけて
わが刃にするどく傷を入れられて風の中なる一枚の魚
判型:四六判上製カバー装
頁数:172頁
定価:2500円(税別)
ISBN 978-4-86629-121-5