安藤菫歌集『はるかなる虹』

安藤菫歌集『はるかなる虹』

 

脳病む娘へ。

歌を詠んではあなたのことしか出てこないのです。

統合失調症などとは一口で片付けられない、

こころ病む人間の真実。

そういう人たちに現代社会が寄り添おうとしない矛盾。

母はこれまで秘匿してきたあなたの本当の姿を

ここに明らかにします。

 

『はるかなる虹』より5首

                           あこ

バージンロード歩める如く医師の手を預けて吾娘は病棟に消えぬ

 

もぎたての桃のごとくに水弾く素肌よ若きこころは病みて

 

罪なくて脳病みし娘を迎ふるに口惜しや俯く人目気にして

 

悪人正機こころにもてば夕焼に赤唐辛子燦と華やぐ

 かげ

朝光は産湯のごとく咲き初めし薔薇洗ふべし吾わが葬りの日

 

判型:四六判上製カバー装

頁数:226頁

定価:2500円(税別)

ISBN 978-4-86629-123-9