間佐紀子歌集『海の見える家』

判型:四六判上製カバー装

頁数:188頁

定価:2500円(税別)

ISBN 978-4-86629-129-1

 

記憶は美しくまばゆいばかりではない。

静かに群青のおだやかな海を眺めながら思う。

歌は、この世に生かされているわたしに

かけがえのない豊かなものをもたらしてくれた。

 

 

『海の見える家』より5首

 

海からの山からの風吹きぬけて夕顔の咲くふるさとの家

 

終戦の日手をひきくれし電車道ひとり歩めり母はゐなくて

 

「潮音」の創刊号なり大正四年晶子も茂吉もありて親しむ

 

締切がなければ我に著者なしと言はれし恩師の言葉かみしむ

 

鍋料理湯気のむかうに亡き夫の笑顔がふいに浮かびて消えぬ