山科真白歌集『鏡像』

判型:四六判上製カバー装

定価:2500円(税別)

頁数:200頁

ISBN978-4-86629-106-2

鏡像にいつはりなきや吾の奥の永久(とは)に触れよとかひなを伸ばす

 

読みだしてすぐ、眩しい作品集だなと思った。

作者の保持する外界世界が、まことに多彩で明るいのである。

そしてその輝きが、実は作者の貪欲な生への希求の反映であり、読む者にも共有可能なのだと悟まで、時間はかからなかった。【帯文・眉村卓】

 

 

 

『鏡像』より5首

 

鋭角を拒みて波が洗ひたるみづいろ硝子は水に揺れつつ

 

たはやすくさやれぬもののおほかりき浮世のなかの禁忌を数ふ

 

天空に星のあふるる秋の夜インド象ズゼ身籠りてをり

 

美しく冬のあとがきなぞるごと梅はるるると咲き初めにけり

 

横にゐるあなたがなぜか笑ふからわたしも笑つてゐる秋日和