判型:四六判上製カバー装
頁数:226頁
定価:2,500円(税別)
ISBN978-4-86629-136-8
上州富岡の地。
養蚕と紬織りの伝統美をひそやかに守りぬいてきた人生。
こぼれまゆ──形状や色で出荷されない繭をそう名付けた。
この世から落ちこぼれ、はぐれていくものにこそ
本物のいのちの聖性を見る。
『こぼれまゆ』より5首
創ありてかがやくいのちこぼれまゆこの星須臾のひかりつむがむ
浅間嶺の火山灰地に桑植ゑて蚕(こ)飼ひ生ききぬかみつけ人は
桜染め重ね染め昏れ夜の胸にさくら匂ふ手抱きて眠る
子午線ゆ注がるる乳を享くるごと空仰ぐとき人は口開く
織り終へてまた絲紬ぐ繰りごとの果てに透きゆくいのちなるべし