判型:四六判上製カバー装
頁数:188頁
定価:2500円(税別)
ISBN 978-4-86629-130-7
土産わたして軽くなりたる旅行鞄に見えざるものを詰めて帰りぬ
久保富紀子さんは秋田県の出身で、今は宮崎に住む。秋田と宮崎の間をよく往復されるが、国内はもとより海外への旅の経験も豊富である。
その旅のまなざしを日常生活にも鋭くむけているところがさすが「旅行鞄」の歌人である。
時刻表通りに電車の来ることに慣れすぎて駅よ淋しくないか
伊藤一彦 帯文
『旅行鞄』より5首
旅行とは鞄に夢を詰めること温めていた「いつか」を孵し
青空にどの子の夢も押し上げて冬のブランコ錆びた呼吸す
冷蔵庫を開ける一瞬ぴたり止む庫内の会話 われは拒まれて
カシオペアと名づけてヒトが繋ぐ星五つは永遠になかまと知らず
死を悟るこころ置く夜の長からむピーターパンのもう来ない窓