定価:2500円(税抜)
判型:四六判上製カバー装
頁数:172頁
ISBN978-86629-154-3
日常は雫。滴る時間の一滴一滴。
意匠をこらさず、衒わず、事物の実相に迫る。
この歌びとがシニカルに見つめるさまざまな日常、社会。
時には歌を詠み棄てるように、あるいは歌を抱きかかえるように。
対岸の炎は川原に棲む人の焚く火と知りぬ橋を渡りて
兎ひとつ座れる形にレジ袋ベンチにありて夕暮れてゆく
ホール出口に向かふ横顔靴脱いで会ふことはなき人と思へり
酒の空き缶ゴミ出し一回分たまる実質これは恋ではないな
「くれなゐ」は旧仮名が好し春寒の固き口紅筆先に取る