判型:四六判上製カバー装
頁数:266頁
定価:2600円(税別)
ISBN978-4-86629-172-7
互いを思いやりながらの穏やかな日常生活が、しだいに壊されてゆく。
まだまだ遠い先のことと思っていた<その時>…。
事実を事実として受け止め、静かに立ち向かって行く作者の凛とした姿勢故に、一首一首の内包する悲しみは深く、読者の胸に響く。
平林静代「序」より
十月のジグソーパズルの終片を収むるごとくコスモス咲きぬ
老職人はわが足の甲をひと撫でし草履鼻緒の長さを決めぬ
葦焼けてかぐろき原を覆ふまで予祝の雪よこんこんと降れ
癒ゆるなき夫につけつけもの言ひてあかるき秋のひと日うしなふ
若き日に君と通ひし古書店の前で待ちなむ先に逝きなば