判型:四六判上製カバー装
頁数:262頁
定価:2,600円(税別)
ISBN978-4-86629-175-8
寒満月の皓々と照る舗道を、
酒臭い初老の男がコートの襟を立て歩いていく。
口ごもりつつ吐き続ける言葉が聖なる韻律を呼び寄せる。
悲哀あり、風刺あり、諧謔あり、そしていくばくかの艶もある。
この表現者の孤独に予祝の盃をかかげるのは果たして誰なのか。
第三歌集。
電車にてをみなごと指触れ合へばその温もりをポッケにしまふ
ゆめのなかでかげふんじやつた目覚むれば己の影は絶えて踏まれず
夕焼けを小脇にかかへ持ち帰り豆腐に和へて酒のあてとす
片恋の砂かむやうに滲み出でとほき思ひの八重桜さく
青天を核融合の星ひとつ白く滾りて地上を照らす