清水あかね歌集『白線のカモメ』

定価:2,500円

判型:四六判上製カバー装

頁数:210頁

ISBN978-4-86629-196-3

 

 

 

猿人がくいっくいっと背を伸ばし進化してゆく古代史年表

桜咲く夕べも傘なき雨の夜も小さな橋をわたしは渡る

高く高くエスカレーター天に伸び真冬静かな科学未来館

 

世界を、人生を、歴史を、時代を、柔軟に素直に受け入れつつ、ゆったりと歌うスケールの大きな歌が見どころ。女子高生を教える教員として、夭折した弟を思う姉として、自由に旅をする日本人として、過去を未来をこころに浮かべる表現者として、前向きな感性を自在に解放して見せた歌集である。(帯文:佐佐木幸綱)

 

 

 

この星に私はどこからきたのだろうコンタクト入れ今日が始まる

 

もういない弟おもえば飴色の玉蜀黍茶のほのかな甘み

 

樹もわれも見えない光に照らされて八月のかげ舗道にきざむ

 

逢いたくて逢いたくなかったひとと逢う火星が地球に近づいた夏

 

ちらちらと常葉の揺れて生垣を過る人影 向こうはどの世